「平成の天秤打法」…巨人育成から昇格の2番・松本
坂本と相性抜群
独走態勢に入った原巨人。とりわけ、今月6日の横浜戦で1番・坂本勇人内野手(20)、2番・松本哲也外野手(25)の“新コンビ”が結成されて以来、無傷の5連勝中だ。殊勲打連発の坂本の陰で、育成選手出身の松本も渋い輝きを放っている。その松本の独特の構えに、「平成の天秤打法」の呼び声がかかり始めた。
バットを構えた時、右手と左手の間を極端にあける珍しいスタイル。「打席で力まないようにと試行錯誤しているうちに、ああいう握りになりました」という。「バスター打法」とも呼ばれるが、1960年代に活躍した故・近藤和彦氏(大洋、近鉄)の伝説的な「天秤打法」を彷彿させる。

江崎久監督
近藤氏の天秤打法は、バットを頭の上で寝かした構えで、松本以上に奇異な印象。首位打者を逃したものの、60年から3年連続で打率はリーグ2位、シーズン3割を6度マークした。
現役時代に近藤氏と親しかった、巨人OBの須藤豊氏(夕刊フジ評論家)は「確かに松本の構えは近藤さんを彷彿させる。ただ近藤さんの場合、ピッチャーの投球に合わせて、パッと両手をバットを離し、一瞬とはいえバットが宙に浮く形になった。次の瞬間、両手の拳がくっついて、きっちりトップの位置が決まっていたものだ」と振り返る。松本の場合、左手を滑らせるようにして右手につけてトップの位置を決め、最短距離でバットを振り下ろしている。
須藤氏はそう比較した上で、「一発もある1番・坂本と、地味ながら四死球を多く取れそうな松本は非常にいいコンビ」と高く評価する。松本は今季32試合中23試合に出場、46打席と少ないにかかわらず、セ2位タイの3死球(11日現在)。170センチと小柄なうえ、ホームベースに近づいて構えるため、相手投手にとっては投げにくいのだ。
【育成から這い上がる過程で習得】
そんな個性派の松本は、東都大学リーグ2部の専修大出身。主将を務めた2006年秋に9季ぶりの1部復帰に貢献したが、体格ゆえか、その年のドラフト会議では指名から漏れ、巨人の育成選手に。翌07年、俊足好守を買われて支配下選手に昇格。今季年俸はわずか600万円。このままシーズンを通して1軍に生き残れば、1軍最低保証の1500万円を得られる。レギュラーに定着すれば、来季は3000万円は固いだろう。
専修大のGMとして松本を発掘し、今季から指揮を執っている江崎久監督(65)は「『天秤打法の真似ではないか』なんて声も聞くが、大学時代は普通に構えて打っていた。ギリギリで巨人に取ってもらって、必死にプロのレベルに対応しようとする中で生まれた打法でしょう」という。
母校はここ4季、2部にとどまっているが、「松本の場合、育成選手から頑張って這い上がってきたところがいい。2部から這い上がろうとしているウチの学生たちにとっても、この上ない励み」(江崎監督)
“外様”頼みの印象の強い巨人にあって、ここにきてドラフト1位入団の坂本のみならず、育成選手出身の山口、松本、隠善らが相次いで1軍の戦力となり、風穴を開けている。ネームバリューやバランス重視のドラフト指名選手にはない、“一芸”に懸ける面白さが育成枠出身選手にはある。
ZAKZAK 2009/05/12
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