ジーコ元監督の通訳を15年務めた鈴木國弘氏(下)
真相直撃インタビュー「気になるあの人あの話題」
サッカーの神様、ジーコから「オレの分身だ」といわれた鈴木國弘氏(53)。2人はいまも固いきずなで結ばれている。サッカー界で15年もの長い期間、特定一人の通訳を務めるのは、他に例を見ない。まさに“兄弟仁義”の間柄だ。(聞き手=夕刊フジ編集委員・久保武司)
−−2人のコンビは途中解散もなかった
「大げんかも、しょっちゅうしていました。ああみえて、ジーコは日本にもいる典型的な頑固オヤジ(笑)。日本を愛していたし、愛されてもいた」
−−優勝した2004年アジア杯では練習場でもやり合っていた
「お恥ずかしい(苦笑)。でも、言い合いをしても次の日には何もなかったような間柄になっているんです」
−−世界的にみてもサッカーの監督と通訳がコンビで15年間も同じ現場で働くなんてありえない
「(ジーコの実兄)エドゥーや(日本代表GKだった)カンタレリもいつも驚いていました。『ジーコとあれだけのけんかをした奴は、次の日には机がなかった。鈴木に仲直りする秘訣を教えてもらいたいくらいだ』と。前世でも間違いなくつながっていた? と思います」
−−思い出は尽きない
「鹿島時代は監督代行、GM、選手、主将とありとあらゆる仕事をしていた。当時ジーコの給料は(急落した)ドル建て。そこで『これだけ働いているんだから、もっともらえばいいじゃないですか?』と言ったら、『バカヤロー、プロが1度契約書にサインしたらそんなことを言うものではない』と一喝されましたよ(笑)」
−−それから、日本代表監督の通訳に。最後に待っていたのはドイツW杯での1次予選敗退という結末
「結果はしかたありません。でもジーコも選手もスタッフもとにかく一生懸命やりました。ジーコはヒデ(中田英寿)、俊輔、稲本、(小野)伸二の4人が好調を維持してチームの軸になればW杯では期待ができる。それからチーム名を世界を驚かすスピーディーなチームにしたいということから『新幹線タクティクス(戦略)』というスローガンを掲げようとも言っていた。小野伸二に対しては高校の時に伸二をジーコが生で見て日本にもこんな素晴らしい若い選手がいるって喜んでいました。だからオーストラリア戦の一番重要なところで伸二をボランチ(守備的MF)として自信を持って投入したのです」
−−そうだったんですか。W杯で忘れられない出来事もあるそうですが
「ブラジル戦に負けて悔しくてロッカーの外で一人でたばこを吸っていました。そうしたらブラジル代表スタッフに『なんだよ、日本は。4年もジーコを監督にしてもらってこんなに弱くて…。本当は俺たちのベンチに一番欲しかったのがジーコだったんだぞ』と言われてね。悔しかったです」
鈴木氏は自分の経験を生かし、「来年はW杯があり、伝えられることは、ぜひともみなさんに伝えたいと思っています」という。そして、「岡田ジャパンにはぜひとも成功してもらいたい」と心から願っている。
■鈴木 國弘(すずき・くにひろ) 1955年12月25日、千葉県生まれ、53歳。19歳でブラジルに渡ってポルトガル語を身につけ、通訳業をスタート。1991年、住友金属サッカー部(現J1鹿島)に電撃加入したジーコの担当通訳を15年間務めた。2006年ドイツW杯を最後にジーコと離れて通訳、コーディネート業を始めたが、昨年から僧侶として修行の道へ。サッカーのみにとどまらず、日本とブラジルの交流にも情熱を注ぐ。
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