稀勢、力士選士権まさかの連覇で再起へ高まる期待 審判部長「体もブヨンブヨンではなかった」

稀勢の里は九州場所出場さえ危ぶまれる中、まさかの優勝

 9月の秋場所全休を含め3場所連続休場中の横綱稀勢の里が、第76回全日本力士選士権(10月2日=両国国技館)の32人参加トーナメントに出場し意外にも優勝した。

 途中休場した7月の名古屋場所以来となる注目の土俵は、“まさか”の結末が待っていた。1回戦から千代の国、大栄翔、正代、朝乃山に対し、すべて右上手を引いて寄り切り。決勝でも豪風も危なげなく寄り切り、昨年に続いて大会連覇を果たした。

 稀勢の里は「非常によかった。体を作ってきた効果が出た。(休場中に)全体をしっかり鍛えて、だいぶ全身を使えた。しっかりやれば、また相撲が取れると信じてやっている」と不安を一蹴。今年の初場所で初優勝するまで、どうしても賜杯に手が届かなかった稀勢の里だが、他のあらゆる大会を含めても、昨年の今大会が初優勝だった。トーナメントとはいえ、簡単に優勝できるものではないのだ。

 二所ノ関審判部長(元大関若嶋津)は「上手を取るのが早かったし、よく前に出ていた。ああなったら横綱は負けない。あれが形だから。休んでいたけど、体もブヨンブヨンではなかった」と評した。

 もっとも、「あの形になれないと、バタバタしてしまう」と分析したように、右上手を引けなかったときが課題だ。

 1回戦の審判だった藤島親方(元大関武双山)は「(痛めていた)左も使えていたし、状態は悪くないようにみえた。あとはどこまで勝負勘を取り戻せるか」と分析。

 師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)も「関取衆と肌を合わせることができたことはよかった。本場所になれば、また(相手の取り口など)違ってくると思うけど、次の場所へ向けて大事になってくる」と国技館の大観衆の前で相撲を取れたことを大きな収穫ととらえている。

 秋場所は優勝した横綱日馬富士が11勝4敗と低調だっただけに、「これなら多少無理しても秋場所に出ていれば…」なんて声も出かねない。「これをキッカケにできれば」と稀勢の里。再起をかける九州場所(11月12日初日=福岡国際センター)へつなげたいところだ。(塚沢健太郎)