清宮面談、他球団が恐れる日本ハムの不気味な別行動 大谷口説き落とした“裏技”とは…

清宮と、面談にも出席した父・克幸氏(右隣)

 入れ代わり立ち代わり、詣でに詣でたり。今月26日のプロ野球ドラフト会議の目玉、早実高・清宮幸太郎内野手(3年)は2日、東京・国分寺市の同校で日本野球機構(NPB)10球団と面談した。姿を見せなかった2球団のうち、広島は清宮を指名しないと明言したが、不気味なのが日程調整中という日本ハムだ。2012年には高校卒業即メジャー挑戦を表明していた大谷翔平投手(当時花巻東高)を強行指名し口説き落とすなど、独自路線を行くチームだけに、今回はどんな“裏技”が飛び出すのかと、他球団は戦々恐々としている。(片岡将)

 「何をやってくるんだよ、日本ハム! 本当にあそこは読めねえんだよなあ…」

 ある球団のスカウトはこう吐き捨てて、早実高を後にした。

 巨人は石井一夫球団社長(60)をはじめ最多の5人を投入。その他の球団もトップ級幹部を担ぎ出し、清宮本人、父・克幸氏(50)=ラグビートップリーグ・ヤマハ監督、母・幸世さんらに向けて手製の資料を駆使しながら30分間の面談に臨む中、不在の日本ハムが奇妙な存在感を放っていた。

 この日の早実高は、前日(1日)に行われた文化祭の振り替え休日に当てられ、授業時間の制約がなく、ヤマハもチーム全体でオフのため、克幸氏もスケジュールが調整しやすく面談には格好の日だった。

 広島はこの日、松田元オーナーが「(面談に)行かないということは(指名)しないということ」と明言した。

 一方、姿を見せなかったもう1つの球団、日本ハムはというと、9月28日に同校を訪れ調査書の記入を依頼。すでに指名の意思は示している。

 その日本ハムのドラフト1位における指名方針は明快だ。「その年のNo.1の選手を指名する」。そこには、野球の実力だけでなく知名度や集客力なども加味される。

 今オフ、大谷がポスティングシステムを利用しメジャー移籍に踏み切ることが確実な状況で、後継者のスター候補が欲しいはずの日本ハムがこの日を避けた理由は何か。

 まず考えられるのは、“その他大勢”に埋没することを避けたということだ。この日面談に訪れた球団の多くは、高卒選手の育成方針や実績、施設の充実面を訴えた。各球団によると、清宮自身も施設面や打者の育成方法などに強い関心を示したというが、10球団が一堂に会してプレゼンを行うとなると、いかにカラーを出そうとしても、互いに似通う部分が出てきて埋もれてしまう。

 疲れも出る。この日“トリ”を飾ったロッテが面談を終えて早実高を出たのは午後5時。永野チーフスカウトは「われわれがラストだったので、相当に疲れはあったと思う」と清宮家を思いやった。途中で休憩を挟んだとはいえ、延べ8時間も緊張を強いられれば、話を聞く側の集中力が途切れてもおかしくない。

 プレゼンの名手といわれる日本ハム・大渕隆スカウト部長(47)が、このタイミングでの面談を避けたのは当然の判断ともいえる。

 近年のドラフトで、日本ハムはたびたび“主役”を演じてきた。2011年のドラフトでは、伯父の原辰徳監督(当時)が指揮を執る巨人と相思相愛を公言していた東海大の菅野智之投手(現巨人)をあえて1位指名。もっとも、このときは入団を拒否された。

 それにもめげず、翌12年のドラフトでは、高校卒業即メジャー挑戦を公言していた大谷を、2日前に予告した上でドラフト会議で1位指名。その後、大渕部長(当時スカウトディレクター)は韓国などで高卒即米国に渡った選手を徹底的にリサーチ。国内プロ球団を経た方が成功の確率が高いことを資料にまとめ、さらに投打“二刀流”プランを提案して翻意に成功した。現在も二刀流を継続するどころか、そのままメジャーに挑戦する可能性すら切り開いた。

 他球団が警戒するのはこんな、しがらみをも乗り越えていく予測不能の行動力と突破力だ。

 「ここ数年は目立った動きがなかったが、清宮という突出した存在がいる今年は日本ハムさんも動きがいがあるんじゃないかな」。冒頭のスカウトは苦笑交じりに分析。「動くとしたら6日かもしれない」と指摘した。

 2日現在、日本ハムは残り4試合。5日に西武戦(メットライフドーム)を終えれば、今季最終戦の9日・楽天戦(Koboパーク宮城)まで3日間試合がない(予定)。平日の6日に克幸氏と親交の深い栗山英樹監督(55)を面談に投入、直接育成方針を語ってもらう-というシナリオもありうるとみているのだ。

 このまま広島を除く11球団が清宮を1位指名し、当選率わずか9%の抽選となるか。もっと絞られるのか。その場合“チキンレース”から次に降りるのはどの球団なのか。いずれにせよ、清宮を指名する球団は、ドラフト当日まで日本ハムの動きに神経をとがらせることになりそうだ。

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