鳥谷敬に“球春”は訪れるのか…現役続行を目指すもいまだ吉報なし 本命ロッテのキャンプには西岡剛が“緊急参戦”

鳥谷にとって、阪神のユニホームを脱いで初めてのオフは、いつ終わりを告げるのか

 プロ野球12球団は2月1日、一斉に春季キャンプインする。大型新人のロッテ・佐々木朗希(大船渡高)、ヤクルト・奥川恭伸(星稜高)らに注目が集まる中、球春到来に取り残された大物がいる。2169試合、2085安打など数々の球団記録を塗り替え、昨季限りで阪神を退団した鳥谷敬内野手(38)だ。球団側が用意した花道を固辞し、現役続行の道を選んだが新天地は決まらないまま。一方で、移籍先の有力候補とされたロッテのキャンプには、OBで2年前に阪神を退団した西岡剛内野手(35)の“参加”が決定した。鳥谷を差し置いて復帰はあるのか。

 「カツさんがおってくれたらなぁ…」

 そう述懐するのは阪神の古株OBだ。中村勝広GMはシーズン中の2015年9月、遠征先の都内で66歳で急逝した。鳥谷にとって早大の先輩でもあり、「カツさんがGMのままだったら、鳥谷にしっかりした形で肩たたきができたはず。監督までやった人と、現場経験のない今の背広組ではやっぱり違う」と話す。

 大功労者を阪神一筋で引退させられなかったのは、球団フロントの不手際とみる向きも多い。「それまで何も話し合いがないまま、シーズン終盤に突然呼び出して『ユニホームを脱いでくれ。引退試合はやってあげるから』だけではね…」というわけだ。現役続行を望んでいた巨人・阿部に昨季終盤、2軍監督就任を打診するなど引退後の明確なビジョンを示した上で、引導を渡した原監督とは明白な違いがある。

 鳥谷は愛着のある縦縞のユニホームに別れを告げ、他球団でプレーすることを決断。プロ入り前から親交があり、同じマネジメント会社に所属する井口監督率いるロッテが、早くから新天地の最有力候補とされてきた。

 だが、いまだロッテには動きなし。DeNA、中日、さらには古巣復帰などの観測が流れては消え、中ぶらりんのままで2カ月間のオフシーズンは終了となった。

 これまでも松中信彦、中村紀洋、村田修一、西岡ら、日本代表クラスの大物が不本意な形で球団を去り、年が明けても移籍先が決まらないままキャンプインの時期を迎えた。中村には中日、DeNAと2度も救いの手が差し伸べられたが、2月以降にNPB復帰を果たすケースはまれだ。

 鳥谷に手を挙げる可能性が残っている球団は、もう存在しないのか。球界関係者は「広島の線はまだ消えていない」と指摘。「緒方体制が続いていれば、『チームカラーに合わない』と無理だったが、佐々岡監督に替わり可能性が出てきた」という。キーマンは早大で鳥谷と同期だった、広島元選手の比嘉寿光氏だ。

 現在は球団編成部に籍を置く幹部候補生。鳥谷とは慈善活動を行う一般社団法人で共同理事を務める仲だ。ただ、「すべては松田オーナー次第。東出コーチも同じ松坂世代の村田を獲ってくれないかと頼んだが、うまくいかなかった」(同)。

 鳥谷が評価されるとすれば、単なる戦力としてだけでなく指導者の適性だろう。同じく名球会入りの功労者でありながら横浜(現DeNA)と訣別して広島に拾われ、コーチとしても近年の黄金時代に大きく寄与した、石井琢朗(現巨人打撃コーチ)の例もある。

 さらにキャンプイン直前になって、ロッテに気になる動きがあった。かつて村田も“浪人期間”にプレーしたBCリーグ・栃木から、ロッテの春季キャンプ地の沖縄・石垣島に派遣される練習補助員の中に、OBの西岡がいることが分かった。

 球団関係者は「補助員のリストに西岡が入っていると知ったときは『さすがにそれは…』となったが、本人の強い希望があったようだ。こちらはあくまで練習を手伝ってもらうアルバイトとして迎えるが、今の現場やフロントに真摯な姿勢とまだ動けることを、どんな形でもアピールしたいという気持ちの表れではないか」と話す。

 西岡は「最後はロッテのユニホームで終わりたい」と公言。栃木でプレーした昨年も2年連続で12球団トライアウトに参加したが、いまだ吉報は届いていない。前出関係者は「わらにもすがる思いなのだろうけど、獲得につながることは99%ないよ」とくぎを刺すのだが、見方を変えると別の思惑の可能性もある。

 ロッテの2度の日本一に貢献した西岡の熱烈な復帰希望には目もくれず、これまで何の縁もない鳥谷を優先して入団テストをすれば、OBやファンの反発は必至。形だけでも西岡にチャンスを与えた後なら、晴れて舞台が整うともいえる。令和の時代も球界の一寸先は闇。鳥谷に春は訪れるか。