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WBCのMVPはこう決める 2大会連続MVPの松坂に隔世の感

 ドジャースタジアムでのWBCといえば、興奮や感動より忙しかった記憶しかない。2009年の第2回大会決勝は日本-韓国。鬼デスク(現編集局長)から連覇なら運動面だけで9ページの大展開を指示された上、米大リーグ機構からはMVPとベストナインに相当する「オール・トーナメント・チーム」の選考を依頼されたからだ。

 「もう締め切りだ。早く投票用紙を出してくれ」と当時の広報部長から催促されたのは、日本の1点リードで迎えた9回。日本と電話で打ち合わせをしながら投票用紙を手渡した直後、同点に追いつかれて延長戦に突入したのを覚えている(イチローの決勝打が出たのは、締め切り後の延長10回)。

 投票したのは、第1ラウンドから取材した記者や、中継テレビ局の担当者ら11人。日韓対決になり、大リーグ機構は両国のメディアを優先的にメーンプレスボックスに座らせるなど配慮していた。筆者が投票を要請されたのも、日本が決勝まで進んだからだった。

 MVP候補は3戦3勝の松坂大輔(当時レッドソックス、現ソフトバンク)と、決勝を含む4試合で防御率1・35と安定していた岩隈久志(当時楽天、現マリナーズ)。岩隈が決勝で好投したので最後まで迷ったが、勝利という結果を評価して松坂に票を投じた。2大会連続でMVPに輝いた日本のエースが、現在は開幕1軍さえ難しくなっているのだから隔世の感がある。

 懐かしくなって、大リーグ機構の広報担当にメールで問い合わせたところ、今大会のMVPも同様の投票形式で選出するという返答があった。日本は準決勝で敗退。決勝ではドジャースタジアムの記者席を米国とプエルトリコのメディアが占め、MVPの投票用紙は日本の記者には回ってこないかもしれない。

 ■田代学(たしろ・まなぶ) サンケイスポーツ一般スポーツ担当部長。1991年入社。プロ野球や五輪担当などを経て、2001年から13年11月まで米国駐在の大リーグ担当キャップ。全米野球記者協会の理事や、13年ワールドシリーズの公式記録員を日本人記者で初めて務めた。米国での愛称は「ガク」。

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