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トップで左肩を落とさない ついに“こうじ”の正体が明らかに (1/2ページ)

★(32)全容

「長野にも、半田が援助していた心臓病の子供がいたんですね」

 長峰刑事は大介の言葉にうなずくと、ゆっくりと説明を始めた。

 「そのとおりです。確認できただけで、半田は全国で20人以上の子供の心臓手術の費用を立て替えていました。3000万円以上の援助を受けていた子供もいたんです。その1人が長野市に住んでいる小学生で、すでに無事手術を終えています。すべては“こうじ”の謎が解けたことでわかったことです」

 「ひょっとして、その小学生が“こうじ”?」

 長峰は続けた。

 「違います。実は“こうじ”は人の名前ではなかったんです。つまり…、古川さん、長野は門前町ですが、最大の名所のお寺といえば、わかりますか?」

 「有名なお寺? 善光寺?」

 「そう。ぜん・こうじです。長野駅前で捜査員の1人が偶然、外国人観光客に道を聞かれて、『ゼンコージハドコデスカ』って。それで気がついて、善光寺周辺で聞き込むと、古びた小さなそば店に行き当たりました」

 「ぜん…こ・う・じ…だったのか…」

 「はい。その店主の娘が援助を受けた小学生です。しかも、店主は半田への恩義から、半田が隠し場所に困っていたカネの残りの約3000万円を預かっていた。聞き込みの捜査員に対し、店主は『ニュースで半田が死亡したことを知ったが、カネをどうしたらいいか迷っていた』と告白したのです。半田自身も手術の順番を待っている心臓病の娘がいます。その費用だったようですが、警察としてはこれは没収して、銀行に戻すことになります」

 「すると半田の娘さんの手術はどうなるんです?」

 「残念ながら受けられないでしょう」

 「そ、そんな」

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