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W杯開催の露サッカー界に“イエローカード”続々 ファンは6%、不透明マネー

 【モスクワ=黒川信雄】日本が来年、ロシアで開催されるサッカー・ワールドカップ(W杯)への6大会連続出場を決める一方、当のロシアではサッカー人気の低迷が深刻化している。最新の世論調査では、自身が「サッカーファン」とする回答は全体の6%にとどまり、「サッカーに関心がない」は56%にのぼった。プーチン政権は“国家戦略”まで打ち出しサッカー界の底上げを図ろうとしているが、乏しい内容に批判の声が上がっている。

 調査は露政府系「全ロシア世論調査センター」が実施した。同センターによれば、2005年時点では「サッカーファン」との回答は19%、「関心がない」は43%で、状況の悪化が浮き彫りになっている。

 主要因と考えられるのは代表チームの成績低迷だ。ロシアで6月、W杯の“前哨戦”と位置づけられる「コンフェデレーションズカップ」が開催され、開幕式にはプーチン氏も登場したが、ロシアは1次リーグ敗退で終わった。

 国際サッカー連盟(FIFA)のランキングでロシアは08年には9位につけていたが、現在は62位に落ち込んでいる。成績低迷の理由として露専門家のクラコフ氏は、ソ連崩壊後の混乱により1990年代に若年層の育成システムが機能しなくなったことが要因と指摘する。

 サッカー人気の低迷は、代表チーム内で繰り返される選手とコーチとの激しい反目や、粗野な言動も理由とみられている。

 そうした中、ロシア・サッカー協会はこのほど、プーチン大統領の指示のもと「2030年までのサッカー発展戦略」を策定し露政府が承認した。懸案のサッカー人気をめぐっては、W杯開催を機にその回復を図るとしている。

 ただ、その内容は心もとない。「戦略」では「代表チームの成功を保証することはできない」と前置きし、W杯開催の目的は「結果いかんにかかわらず」国内でのサッカー人気を高めることだと位置づけた。あたかも低い成績を前提としているかのような内容で、政界からは、「W杯に“参加”することが目的なのか」などと批判の声が上がった。

 W杯をめぐっては、建設されたスタジアムをめぐり当初予定を数倍上回る不透明な巨額の支出が明らかになるなど、国民の反発を招きかねない問題も浮上。ロシア政府が威信をかけて招致したW杯だが、現状では国民の極めて低い関心のもとでの開催となりかねない。

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