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【田代学 ダッグアウトの裏側】真摯な男ハラデー氏、突然の訃報に絶句 殿堂入りスピーチする姿見たかった

 事故死の一報に絶句した。米大リーグのブルージェイズとフィリーズで通算203勝を挙げた名投手、ロイ・ハラデー氏が40歳で急逝。今月7日(日本時間8日)、フロリダ沖で所有する小型機の操縦を誤り、墜落したとみられている。パイロットだった父親の影響もあり、2013年の引退後は飛行機の操縦に熱中していたという。

 筆者がハラデー氏を単独インタビューしたのは、フィリーズにトレード移籍した10年の春季キャンプ中のことだった。広報部長から「朝7時に来るなら話すそうだ」と連絡があり、寝ぼけ眼でフロリダ州クリアウオーターを訪れた。

 「個人の練習や取材は全体練習前に終えて、(オープン戦の登板がない)午後は子供との時間にしている。早く来させて悪かったね」とハラデー氏。クラブハウスの担当者は「毎日午前5時に現れ、決まったメニューを消化する。まねようとした選手もいたけど、すぐに断念したよ」と感心していた。同氏のストイックな一面を垣間見た気がした。

 インタビュー中には決め球・シンカーの握り方を撮らせてくれ、投げるコツも解説。00年のマイナー落ちを転機に、腕の角度をオーバースローからスリークオーターに下げたことで、シンカーとカッターの制球力が格段に向上したと明かした。直後に米誌『スポーツ・イラストレーテッド』の表紙撮影が予定されていたのに、質問に最後まで真摯に答えてくれた。

 この10年シーズンは5月に完全試合、地区シリーズではノーヒットノーランを達成。与四球数が先発した試合数より少ないという抜群の制球力で21勝を挙げ、2度目のサイ・ヤング(最優秀投手)賞に輝いた。筆者にとっても忘れられないインタビューとなった。

 2000年代最高の投手の1人。クーパーズタウンでの米野球殿堂入り式典で、スピーチする姿を見たかった。(元全米野球記者協会理事・田代学)

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