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【小林至教授のスポーツ経営学講義】ポスティングは現代の“不平等条約” 日本の球団は一丸となって対等に交渉を (2/2ページ)

 このように実にアンフェアな制度であるにも関わらず、ますます日本に不利になっているのも気になります。

 松坂、ダルビッシュを獲得する対価(譲渡金)が5000万ドル(約56億5000万円)を超えたことから、2013年には上限が2000万ドル(約22億6000万円)に定められました。そして今回MLBが新たに設けた、25歳未満のドラフト対象外の外国人選手に関する規定によって、大谷の契約額は多くても4億円弱で、獲得球団は最大6年間拘束できます。しかも調停の権利を得る(MLBで3年間プレー)まで最低年俸です。

 こんなポスティングについて、ESPNやスポーツ・イラストレーテッドなどアメリカの大手スポーツメディアは、日本にとってあまりに不利で、MLBはアメリカ・ファーストで節操がないという趣旨の記事を書いていました。確かにMLBには、業界のリーダーとしてもう少し共存共栄の発想を持ってもらいたいものですが、本件は、幕末に結ばれた不平等条約(日米通商航海条約)のように、武力を背景に無理強いされたものではありません。日本は破棄を含めた条件交渉について、アメリカと対等の権利を有しています。

 NPB各球団は否定派、容認派、積極派で意見が割れており、日本プロ野球としての意思を統一するのは簡単なことではありませんが、導入されて20年、そろそろ「開国」に伴う混乱期から、「坂の上の雲」を目指して一丸となる時期ではないかと思う次第です。

 ■小林至(こばやし・いたる) 1968年1月30日生まれ。東大から1991年ドラフト8位で千葉ロッテに指名され入団。史上3人目の東大卒プロ野球選手となったが、1軍登板なく93年退団。その後、米コロンビア大で経営学修士号取得。02年から江戸川大学助教授。05年から14年までソフトバンク球団取締役を兼任。現在、江戸川大学教授、専門はスポーツ経営学。

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