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【BOOK】「世紀の凡戦」と批判浴びた猪木とアリの対決…反論できなかった村松友視さん「“後ろめたさ”ずっとあった」 (1/3ページ)

★村松友視さん『アリと猪木のものがたり』河出書房新社1600円+税

 約40年前、ボクシングのモハメド・アリとプロレスのアントニオ猪木が闘った“格闘技世界一決定戦”を覚えているだろうか。壮絶なファイトを期待したファンからは「世紀の凡戦」とバッシングを浴びた。あの一戦と改めて向き合った著者の主観的『真実』とは…。(文・梓勇生 写真・桐山弘太)

 --なぜいま、アリ・猪木戦なのでしょうか

 「直接のきっかけは昨年、アリが亡くなったことですが、ずっと僕の中で『忘れ物』のようにひっかかっていた。(デビュー作の)『私、プロレスの味方です』はプロレスに対する世間の上から目線(蔑視)と対極のスタンスに立って書いたんですが、この試合については“なでる程度”にしか触れられなかった」

 「それは当時、まだサラリーマン(出版社編集者)だった僕が、世間の批判や嘲笑という価値観に刷り込まれてしまい、反論すべき言葉を持ち得なかった、及び腰になっていたからです。物書きとして、書くべきことを書かなかったという“後ろめたさ”が僕の中にずっとありました」

 --2人のバックグラウンドや「奇跡」とも思われた試合が実現するまでの経緯が興味深いです

 「当時のアリは、世界に冠たるチャンピオン、スーパースター。アリから見れば、猪木さんは名前も知らない一介の極東のプロレスラーに過ぎませんから、闘うメリットなどなかったでしょう。黒人への人種差別問題などを掲げてきたアリには(東洋人の猪木との一戦は)『対立軸』を描きにくい試合でもあったと思います。それが、猪木さんのことを知るにつれてだんだんと関心を持つようになったと思う。『オレ(アリ)の知っているプロレスとは違う。猪木とやるのも面白いんじゃないか』って」

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