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稀勢、白鵬敗れるも…“無給”鶴竜、横綱で唯一の土つかず 逃せない優勝賞金1千万円

 ■大相撲初場所3日目(16日、東京・両国国技館)

 横綱鶴竜はうるさい嘉風を相手に、立ち合い踏み込んで絞り上げるように起こしてからの突き落とし。稀勢の里、白鵬が相次いで敗れた土俵を、結びの一番で締めた。

 気がつけば、3横綱でただ1人土つかず。「相手がよく見えていた。でも、始まったばかりだから」。ほんの少し頬がゆるんだ。

 昨年夏場所から4場所続けて休場。「今場所に進退をかける」と師匠の井筒親方(元関脇逆鉾)が明言している絶体絶命の場所。しかも日馬富士傷害事件では現場に居合わせながら、事件の発生、進展を止められなかったとして白鵬とともに、今場所は「無給」というトホホな場所になった。

 しかし、ファンはありがたい。励ましの手紙が山のように届き、その全部に目を通している。「返事はなかなか書けないけど、手紙は全部取ってある」という。

 巡業では直接声をかけるファンも多かった。「いろいろあったけど、神様は乗り越えられない試練は与えない。そう前向きに考えれば、乗り越えられる」と自分を奮い立たせた。

 井筒部屋は、師匠の方針で稽古は非公開になっている。そのため、報道陣は寒空の下、終わるまで外で待っている。貴乃花部屋のような状況だが、決定的な違いがある。無言を貫くのは親方で、鶴竜は「寒い中、本当は中に入ってもらいたい」とねぎらう優しさを持ち合わせている。

 「この3日間、横綱になってから一番いい動きといってもいい」と藤島審判副部長(元大関武双山)。前代未聞の“無給横綱”が、1000万円の優勝賞金を手にする可能性も見えてきた。