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高木菜那、戦略ピタリ2冠「最高の滑り、最高の五輪にできた」 平昌五輪

 平昌五輪第16日(24日、江陵オーバル)新種目の女子マススタートで高木菜那(25)=日本電産サンキョー=が団体追い抜き(パシュート)に続き、2個目の金メダルに輝いた。

 持ち味の器用さと判断力が生きる新種目のマススタートで、高木菜那が存分に力を発揮した。21日の団体追い抜きに続いて2つ目の金メダル。絶妙の位置取りでトップを追走すると、タイミングよくかわしてゴールを駆け抜けた。両手を突き上げ、何度もガッツポーズ。「この最高の舞台で(この種目で)初めて一番高いところに立てて本当にうれしい」と笑顔がはじけた。

 身長155センチ。世界の強豪の中では極めて小柄だ。長所は全身を使った滑り。今大会でメダル3個を獲得した妹の美帆(日体大助手)も「きれい」と評価するほどで、高校時代の恩師、東出俊一さんは「美帆の滑りは一般人にはまねできないが菜那は見本になる」。天才ではない。努力で滑りを磨きあげてきた。

 昨季、小さな体が悲鳴をあげた。団体追い抜きの主力として五輪を目指している矢先に右膝を故障した。焦りもあったのだろう。練習しては再発を繰り返し、バイクをこぐだけの日々もあった。昨年2月の世界距離別選手権マススタートで銀メダルに輝いたが、膝の状態は完治しないまま五輪シーズンを迎えた。「焦ったり、ネガティブになったりするときは『このつらさが後で生きてくる』と考える。無駄なことはひとつもない」。必死に前を向き、できる範囲で練習を積み重ね、大舞台に間に合わせた。

 やはり151センチの小さな体で奮闘するフィギュアスケート女子の宮原知子(さとこ)(関大)が励みだった。昨年、国立スポーツ科学センターでのリハビリで知り合い、必死に股関節骨折からの再起を目指す姿に心動かされた。満身創痍(そうい)でも諦めずに五輪を目指してきた原動力の一つだ。

 迎えた大舞台。最初の5000メートルで12位に終わり「悔いの残るレースをしてしまった」。だから「スケート人生を全部出し切る」と臨んだ今大会最終レース、個人種目として団体追い抜きに続いて「自分の最高の滑りができて最高の五輪にできた。本当に良かった」。納得の笑みが大きく広がった。(産経新聞、大宮健司)