記事詳細

【平昌取材日記 零下20度の街から】孤独な北朝鮮選手にイタリア選手が見せた“優しさ”

★(13)

 大会期間中、北朝鮮を応援する“美女軍団”と何度か遭遇した。一糸乱れぬ動きで声援を送る。記者席のすぐ隣に陣取るので、否が応にも目につく。それでいて写真を撮ろうとすると、全身黒服でマスクまで黒の監視員が険しい表情で「撮るな」と手で制した。

 応援をしていないときの彼女たちは、人形のように無表情だ。トイレに行くときも監視員が同行。韓国にいても彼女たちの空間は北朝鮮なのだ…。

 フィギュアスケートのペアで13位になったキム・ジュシク(25)、リョム・テオク(19)は、25日のエキシビションに登場する。選手約30人による合同練習でのこと。ペア種目のロシア、中国、韓国、カナダ、イタリア、ドイツ選手が談笑する中、北朝鮮ペアだけが浮いていた。所在なげにクルクルと回って時間をつぶす姿は寂しそうに見えた。

 すると、イタリアのバレンティーナ・マルケイ(31)が優しい笑顔で声をかけた。韓国の選手も呼び寄せ、南北の選手と記念撮影。19歳の北朝鮮の少女は、どれだけうれしかっただろう。どれだけ心細かったのだろう。その後もリョムはバレンティーナの腰に手を回したまま、くっついて離れなかった。

 “世界が集う”場で、いかに友好を示しながら自分らしく振る舞うか。五輪を取材する記者の私にも当てはまる教訓だ。(飯田絵美)

zakzakの最新情報をSNSで受け取ろう