記事詳細

【神谷光男 スポーツ随想】時代に取り残されたレスリング界の指導体制 トップアスリートが環境選ぶのは当たり前

 女子レスリングの伊調馨が、日本協会の栄和人強化本部長から繰り返しパワーハラスメントを受けたとされる問題が世間を騒がせている。

 レスリング協会は事実関係を否定しスポーツ庁に報告したが、「当事者の聞き取りをしてから」とつっぱねられ、あわてて今週中に栄氏や伊調から聞き取りをすることになりそうだ。

 火のない所に煙は立たぬ。林文科相も「われわれとしても協会の対応を注視してまいりたい」と、協会にプレッシャーをかけている。

 それにしても、いつの時代の話か、と思う。平昌五輪では、オランダから招いたヨハン・デビッドコーチが手腕を発揮したスピードスケート陣が、前回ソチでゼロだったメダルを金3個を含む6個へ大躍進させた。ナショナルチームに入らなかった小平奈緒もオランダ武者修行で変身した。

 カーリング女子も、イケメンで注目されたカナダ人のジェームス・リンド氏の指導で急成長し銅につなげた。フィギュアスケートの羽生結弦はカナダに練習拠点をおきブライアン・オーサーコーチの指導を受けている。

 トップアスリートがコーチや練習環境を自分で選ぶのは当たり前の時代。平昌のメダルラッシュも積極的に外国の最先端の技術、戦術を取り入れた成果だった。

 女子レスリングは日本以外ではまったくのマイナー競技で外国から学ぶ必要はないが、指導体制の方はまだ「鎖国」時代そのものだ。

 ある関係者は「栄氏にとっては吉田沙保里も伊調もみんな自分が育てた弟子で、大師匠という自負があるはずだ。その弟子に逃げられ、顔に泥を塗られたと思ったのかもしれない。相撲顔負けの『師弟の絆』のような古い考えがまかり通っているとはオドロキだ」と苦笑する。日本のスポーツ界ならではの騒動。喜んでいるのは、大相撲が一段落した後にネタができたテレビのワイドショーだけかもしれない。(作家・神谷光男)

zakzakの最新情報をSNSで受け取ろう