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【神谷光男 スポーツ随想】稀勢の里の“出る出る詐欺”が大相撲の人気下落に拍車

 一連の不祥事がボディーブローのように効いてきたのかもしれない。2日に予定されていた大相撲名古屋場所(8日初日)の新弟子検査が、応募者ゼロで取りやめになった。

 日馬富士の傷害事件に始まり貴乃花親方の反乱と弟子の暴力事件、さらに巡業先での「女性は土俵からおりて」の不適切アナウンス問題…。

 名古屋場所のような卒業期以外の場所では親や先生にも相談せず、自分の意志で学業や仕事を捨ててこの社会に飛び込んでくる一匹オオカミ的な受検者がけっこういたものだ。これだけ不祥事が続くと、そうした猛者でさえ敬遠したらしい。

 「新弟子検査だけではなく、チケットの売れ行きにもちょっと陰りが見えている」と、あるマスコミ関係者。最近は前売り開始日に15日分のチケットが完売という場所が続いていたが、名古屋場所は5月24日に発売した前売りには、いまだに売れ残りがあるという。

 そんなムードに、さらに水を差しているのが稀勢の里の存在だ。最後に土俵に上がったのは今年初場所5日目の嘉風戦で、ちょうど半年前。今場所も休場なら貴乃花の7場所を超え、横綱として最長の8場所連続というから“半端ない”。

 「今度は出る」と、それらしくにおわせて結局は休場してしまう。ある親方はいう。「休めば休むほど出にくくなるし、けがが治るわけでもない。横審の先生方は優しいが、その温情がかえって稀勢の里の決断を鈍らせている。もはや協会のお荷物といわれても仕方ないのでは」

 前売りを求めるファンの中には稀勢の里を見たいという人も多かろう。そんなファンを裏切るような“出る出る詐欺”は、もうたくさんだ。(作家・神谷光男)