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巨人・長野、明日はわが身弾 「村田祭り」で見せた昭和男の意地

 巨人・長野久義外野手(33)が28日の横浜DeNA戦(東京ドーム)で、9回まで両軍無得点の息詰まる投手戦に終止符を打つサヨナラ本塁打。昨季までともにプレーした日大の先輩で、9月にBCリーグ・栃木で現役を退いた村田修一氏(37)に、“昭和男の意地”を見せた。

 こんな巨人が見たかった。両軍の気迫のこもった一投一打が、見る者の胸を躍らせたはずだ。0・5ゲーム差で追う3位DeNAと最後の直接対決。昨季限りでNPBを去った男が、選手たちの心に火をつけた。巨人の招きで、村田が昨季最終戦以来のドーム見参。試合前のスピーチで「両チームの皆さん、今日も熱い試合を期待しています」とハッパをかけた。

 戦前まで新人記録の「巨人戦5戦5勝」を許していた相手先発の東に対し、高橋監督はデータや相性より、勝負の世界を長く生き抜いてきたベテランの経験と意地にかけた。5番から阿部、長野、亀井と東にいずれも無安打の3人を並べ、2回には阿部の二塁打で無死二、三塁の絶好機。だが長野、亀井ともに倒れて無得点に終わった。

 東の1歳下で22歳の若き4番岡本も、2度の得点圏で凡退。打線の援護がない中でもエース菅野は一歩も引かず、7回の好機では自ら打者を還そうと必死のスイングも、下半身に異常発生。痛みを押して9回をゼロに抑えきると、直後にDeNA3番手の砂田から長野が試合を決める一発。お立ち台で万雷の歓声を浴び、スタンドで見守る先輩に「村田さん、見てますか~」と呼びかけた。

 NPB復帰を目指して厳しい環境で奮闘する村田に野球用具を贈り、9日の引退試合では有志26人とともに巨大な花看板を届けた長野。この日は打席に入る際、阿部とともに村田が巨人で使った入場曲をかけた。村田は「そういう優しさが(サヨナラ打の)打球につながったのかな」と感謝したが、実は本人は「シュウさん(村田)が見ているのを忘れていた」。

 平成最後のCS進出を左右する決戦で、指揮官の期待を裏切りこの日も3打席まで凡退。功労者の村田を斬ってまで若返りを進めるチームで、明日はわが身の33歳も瀬戸際に立たされていた。

 崖っぷちのチームと自らを救う劇的アーチ。試合後にはDeNAのOBでもある村田を両軍そろって胴上げし、両翼スタンドが奏でる往事の村田の応援歌に「ウルっときた。よかったです。寂しいですけど」。元年生まれの菅野以下、岡本や東ら平成時代の若手の突き上げを受けつつも、村田と同じ九州育ちの昭和男は、次の元号まで今少し男臭い戦場に身を置く。(笹森倫)

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