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【田代学 ダッグアウトの裏側】“放浪球団”に!? レイズにダブルフランチャイズ構想

 1970年代にロッテは、「放浪球団」などと呼ばれていた。本拠地を特定せず、川崎や仙台などを転々としながら主催の公式戦を行っていたからだ。

 米大リーグでは5年後の2024年から、レイズが放浪球団になる可能性が出てきた。シーズン前半を現在の本拠地であるフロリダ州セントピーターズバーグ、後半をカナダのモントリオールで戦うダブルフランチャイスが浮上しているのだ。米メディアは、この本拠地をシーズン中に南から北へ移す構想をロブ・マンフレッド・コミッショナーがすでに容認したと報じている。

 ア・リーグ東地区2位で首位のヤンキースを追っているレイズだが、観客動員には結びついていない。1試合の平均観客数はア・リーグ最下位の1万5483人。5月28日のブルージェイズ戦の観客数は5786人で球団史上最低を更新してしまった。新球場の建設計画も進んでいない。

 一方のモントリオールは、1969年から2004年までエクスポズ(現ナショナルズ)の本拠地。近年は大リーグ球団を呼び戻す機運が高まっているという。プロスポーツがビジネスである以上、集客を期待できる都市への移転計画が浮上するのは自然な流れだ。

 地元メディアによれば、レイズの中に放浪生活を歓迎する声はないようだ。「本拠地が2つあるなんてストレスだよ。ずっとロードみたいなものだ。家族や犬がいたらどうするんだ」とは、昨季サイ・ヤング賞を受賞した左腕エースのスネル。今年3月に契約を2023年まで延長したばかりだが、24年に本拠地移転となれば残留は難しそうだ。

 選手の総年俸が低くても、レイズは救援投手を先発させるオープナーなどユニークな戦術で対抗してきた。同じフロリダ州内のマーリンズと違い、チーム作りもしっかりしているだけに、放浪球団にはなってほしくない。

 ■田代学(たしろ・まなぶ) サンケイスポーツ編集局次長。1991年入社。プロ野球や五輪担当などを経て、2001年から13年11月まで米国駐在の大リーグ担当キャップ。全米野球記者協会の理事や、13年ワールドシリーズの公式記録員を日本人記者で初めて務めた。米国での愛称は「ガク」。

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