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【実況・小野塚康之 時代を超える名調子】ダルビッシュを考える(上) アイドル選手と違うオーラ…10種類以上の球種、状況次第で直球の速度も調節 (2/3ページ)

 まず、簡単に「キャーキャー」と盛り上がってはいけない雰囲気だった。『騒ぐ前にきちんと投球を見て、それに見合ったリアクションをしてほしい』とクールにメッセージを送っているようだった。マスコミが取材で取り囲んでもごまかしがきかないとでも言えばいいのだろうか。彼に対する知識や情報、その日の投球内容を理解して接しなければならない厳しさをこの高校生は周囲に発していたような気がする。イチロー選手に類似しているようにも。

 どこにいても一人だけ飛び抜けて目立つ。例えば開会式で全校の出場選手がそろってもダルビッシュ投手だけスポットライトを浴びているかのごとくに映るのだった。試合になればさらに際立つ。オーバーハンドでダイナミックなフォームのダルビッシュには一段高いマウンド、とりわけ甲子園のそこがよく似合った。

 それまで190センチを超える長身投手は角度や威力はありながらどこかフォームのバランスが悪かったり、固さがあったり、フィールディングや牽制(けんせい)が苦手だったりする印象を持っていたがそれがみじんもない。柔らかく強く体を使いこなし、ランナーなどにも目を配りその時々の状況に即したピッチングをリズムよく展開した。

 一方で腰痛などの成長期の体調不良に見舞われたこともあったが、その都度乗り越え、高校生活を通してけた外れの実力を見せつけた。印象的だったのは2年の夏、初戦わずか2回で降板したあと復帰の2回戦で完投。3回戦では延長11回を15奪三振の完封で投げ切る底の知れないリカバリー力を見せた。

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