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【神谷光男 スポーツ随想】ワクチン確保遅れで“丸腰観戦” 「科学的」にも「人的」にも限界見えた東京五輪 (1/2ページ)

 日本への供給のベタ遅れで、新型コロナウイルスワクチンの一般国民向け接種は7月以降になるという。7月といえば23日は東京五輪開会式。もし観客を入れての開催となれば、主な観客層となる年代の人たちは大半が未接種の“丸腰観戦”になりそうだ。

 1月7日、緊急事態発出の会見で「このような事態でも五輪は開くのか」と聞かれた菅首相は、「ワクチン接種により国民の雰囲気も変わるだろう」と、開催の決め手として大きな期待をかけていた。ワクチンは「契約通り製薬会社がちゃんと送ってくれるはず」と高をくくっていたようだが、世界の争奪戦は想像以上の激しさだった。何の戦略もなかった日本は、人のよさだけではついていけなかった。

 観客はともかく、安心して大会に臨むために早く接種したいと思う選手も多いだろう。しかし、日本では選手といえども優先接種は認められていない。欧州ではハンガリーやセルビアで優先接種が始まっているとはいえ、世論の反発を招きやすく慎重な国がほとんどで、今夏の五輪までに希望する選手全員が受けられる見通しは立たない。

 ワクチンありきの開催シナリオは崩れ、「ワクチンは前提とせず」と国は方針転換せざるを得なかった。先月末の衆院予算委員会では、丸川珠代五輪相が「ワクチンを前提としなくても、安全安心な大会開催に向け総合的な感染症対策の検討を進めている」と述べた。確かに外国選手には72時間以内の陰性証明書、活動計画書などの提出や4日に1回の検査を求めるが、「みなさん、後はよろしくね」といった感じの緩さだ。

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