楽天の“ポスト野村”に今季限りで広島退団が決まったブラウン監督(46)が急浮上したのは、まさに怪談だろう。4年連続Bクラス監督が、なぜ球団史上初のクライマックスシリーズ(CS)出場決定の野村克也監督(74)の後任候補なのか。4000万円という12球団一安い年俸。それに外国人という理由しか見当たらない。
「1週間くらい前から急に楽天の選手の間でもブラウンの名前が出始めていた。新聞に出るのは時間の問題だと思ったけど、やはり出たね」。5日に一部スポーツ紙で報じられた「来季楽天監督に広島・ブラウン監督最有力」の情報に関し、球界関係者はこう語る。
楽天の来季監督には、西武監督時代の1997、98年にリーグ連覇している東尾修氏(59)が内定していたはずだ。それなのに、どうして一転してブラウン監督が急浮上するのか。
2006年に広島監督に就任してから5位、5位、4位、今季も5位と4年連続Bクラス。見せ場は昨年、今年とCS争いに参戦したことくらい。後は瞬間湯沸かし器で退場の常習犯としてのパフォーマンスが売りだ。
「ブラウンが退場するとチームが勝つ」という退場不敗神話や審判の判定にキレてのベース投げなどがブラウン伝説といえるかもしれない。が、球界に新規参入5年目でようやくAクラス入りしたばかりの楽天の来季監督候補にふさわしい人材とは言えないだろう。強いて理由を探せば、年俸の安さと、ポスト野村の重圧を感じない外国人という点か。
今季限りでロッテ監督を解任されるバレンタイン監督の年俸5億円とは一ケタ違いの4000万円と破格の低年俸のブラウン監督。今季12球団監督の中で一番の安さだ。1億5000万円といわれる野村監督の約4分の1。しかも、日本人女性と結婚したばかりだけに、1年でも長く日本で働きたいと熱望している。それだけに、年俸に関しては楽天の言いなりになるだろう。
もう一つ、球団側にとってのメリットは、外国人なので周囲の声に動じないことだ。“毒ガス口撃”がお得意の野村監督が何を言おうと、ファンが抗議の声をあげようと、馬の耳に念仏。プレッシャーは全くかからないだろう。来季監督に内定していた東尾氏にしたら、このままの勢いで楽天がCSを制し、日本シリーズにまで出場したら、引き受けにくいだろう。野村監督を追い出した人物として、世間からバッシングされる恐れがあるからだ。
最初に「今季限りで野村監督勇退」ありきの楽天球団とすれば、野村監督、ファンからの猛抗議の風よけ的にブラウン監督を1、2年用の緊急中継ぎ政権として起用し、その後に本格政権作り−が本心か。疑問符だらけの来季楽天・ブラウン新監督情報には、「格安」と「風よけ」の2点しか考えられない。(夕刊フジ編集委員・江尻良文)