ペナントレース、クライマックスシリーズ、日本シリーズをすべて制し“3冠”を達成した原巨人には、何かと手厳しい渡辺恒雄球団会長(83)=読売新聞グループ本社会長・主筆=も文句なし。わが世の春といったところだ。
16日に都内のホテルで開かれた日本シリーズ優勝祝賀会では、原監督が日本一決定の際に胴上げで10度も宙を舞ったのを「今度は9連覇を超える10連覇を、という意味」とぶち上げたのは序の口だった。
うれしさ余って、「阿部慎之助君が、今季FAの権利を得たのでありますが、行使せずに、読売新聞に…いや、ジャイアンツに残ってくれることが決まったと聞いたので、お礼を申し上げたところです」と、阿部本人からの発表前に壇上で公表してしまった。
「ドラフト制度という、独禁法違反的な制度があるにもかかわらずジャイアンツが勝ち抜くためには、大変な努力が必要。これからも人材発掘、養成に力を入れてほしい」と、現行制度への不満をちらつかせながらも、笑顔は曇らない。
例年と違い、注文、苦言を呈する要素が見当たらないせいか、「実は共産党書記長だった宮本顕治さん(故人)も巨人ファンだった。共産党の宮本さんは、私とはイデオロギーが違うが、個人的には尊敬している。私が(東大の学生時代に)共産党細胞として活動していたとき、査問にかけられ、その時の議長が宮本さん。あの時に私を除名にしてくれていなかったら、今の立場はない。共産党委員長になっていたか、それともホームレスになっていたか」と思いがけぬ方向へ脱線も。
最後は「ラミちゃん、ラミちゃん」とラミレスを手招きし、10月のセ・リーグ優勝祝賀会に続いて、「ラ、ミ、茶、ゲッツ!」のパフォーマンスを共演してみせた。
これをうけた原監督は「主筆(渡辺会長)は、日本一になれ、日本一になれ、景気が良くなる、そんな話をされてきたが、きょう、なったにもかかわらず、(今度は)10連覇をしろという」と笑わせたうえで、「大志を抱く方が目標は近づいてくる」と請け合った。
盟友の日本テレビ・氏家斉一郎会長(83)が乾杯のあいさつで、「かつて9連覇の時は、『巨人、大鵬、卵焼き』との流行語があった。10連覇の暁にはどんな標語が生まれるのか。『巨人、ナベツネ、カレーライス』がいいかな」と若干滑り気味だったのもご愛嬌だった。
渡辺会長のご機嫌に、周囲も和やかムード一色。それもいいが、やっぱり怒声や激辛渡辺節もないと、なんだか物足りないよなぁ、なんて言ったらバチが当たる?!
(宮脇広久)