「まずは準フランチャイズ」プロ野球誘致目論む新潟の思惑

2010.03.12

 11日、社団法人・日本野球機構との間で、次世代へ向けた環境活動「プロ野球の森」の調印をした新潟県・泉田裕彦知事。「準フランチャイズとして、プロ野球誘致委員会設立」を明かしたが、その思惑と成算は?

 「プロのサッカーチームを立ち上げたときにも『どうかな』と言われたが、Jリーグでトップクラスの観客動員を記録している。プロ野球選手も多く出ているし、もともと新潟の野球熱は高い。言葉ではなく、切符を売ることでアピールしていきたい」

 泉田知事は不言実行で誘致を盛り上げていくと明言。24日に『プロ野球誘致委員会』(仮称)を設立、20万人の署名を集めるという。昨年7月7日の広島対阪神戦でこけら落としが行われたハードオフエコスタジアムでは、今年7月24日にオールスターが開催される。集客力をアピールする格好の場になる。

 が、なぜ「準フランチャイズ」なのか。日本ハムを誘致した札幌のケースを当て込んでいるのだろう。札幌は当初、いきなりフランチャイズとして球団誘致は難しいという現実に直面し、観客動員に四苦八苦していた西武に「準フランチャイズ的な扱いで年間、数十試合してほしい」とオファー。西武側も同意した。

 が、そこへ割り込んだ形になったのが日本ハムだった。東京ドームの高い球場使用料に大赤字を出し、頭を抱えていたところ、札幌側から「本拠地として使用してもらえれば札幌ドームの使用料を安くする」という誘いだ。球団身売りも視野に入れていた日本ハム本社首脳は背水の陣として、札幌移転を決断した。

 「約束違反だ」と西武が激怒するなど一時期スッタモンダしたが、最終的には日本ハムの札幌移転は実行委員会で了承され、04年から札幌ドームは日本ハムの本拠地になっている。結果は大成功。かつて札幌は巨人王国だったが、今では北海道日本ハムが完全に根付いている。

 今回、新潟県側も札幌の成功例を参考に、まず準フランチャイズ的な立場でプロ球団を誘致。機が熟したら本拠地に、という二段構えは現実的路線といえる。というのも、新潟県側が誘致しようとしているといわれる、乱立気味の在京球団のヤクルト、横浜にはそれぞれお家の事情があるからだ。

 横浜は横浜市側から「長期契約していることを忘れないで欲しい」と太いクギを刺されているという。ヤクルトも神宮との深く、長い関係を考えれば、簡単には移転できない。まず「準フランチャイズとしてプロ球団誘致」という、新潟県側の姿勢は正解だ。(夕刊フジ編集委員・江尻良文)