甲子園ファンが願う“ミラクル市川”復活

2011.12.11


伝説の剛腕・西村一孔【拡大】

 今年、山梨県が生んだ剛腕投手の名が新聞紙上を飾った。阪神の左腕・榎田大樹が球団の新人登板記録を更新。それまでの記録(60試合)保持者は、西村一孔だった。

 西村は昭和27年夏、都留高の2年生捕手として甲子園出場。社会人・全藤倉で投手としての素質が開花した。同29年の都市対抗で27イニング連続無失点の大会記録をマークして準優勝に貢献する。翌30年に阪神入団。新人でいきなり開幕投手を任されるなど、22勝をマークして新人王も獲得した。

 だが、この酷使がたたって肩痛、虫垂炎も患って2年目は7勝。結局、プロわずか4年で引退した。平成11年に63歳で亡くなるが、阪神関係者やファンの間では「1年で散った伝説の剛腕」として語り継がれる。

 都留高は、小林雅英も輩出した。日体大、東京ガスを経てロッテ入り。クローザーとして「幕張の防波堤」と称され、米大リーグ(インディアンス)でもプレーした。通算228セーブ。オリックスに所属した今季限りで引退し、来季からは同球団のコーチを務める。

 山梨県最高のプロ野球投手は、甲子園大会に出場しながら、1度も甲子園球場で試合ができなかった。甲府商が昭和38年夏の代表になったときのことだ。45回の記念大会で出場校が増え、3回戦までは西宮球場と併用に。組み合わせのいたずらで、甲府商は西宮ゾーンに入った。このチームの1年生控え投手が、堀内恒夫だった。1回戦は武雄、2回戦は宮崎商を破ったが、3回戦で優勝した明星(大阪)に大敗。堀内は2、3回戦でリリーフ登板したが“甲子園”にあと1勝及ばなかった。エースとなった39、40年の夏はいずれも西関東大会の準決勝で敗退…。

 プロ1年目の大活躍は、前出の西村と同じ。巨人にドラフト1位入団した堀内は、セ・リーグ記録の開幕13連勝で16勝2敗。44イニング連続無失点もマークして最優秀防御率、最高勝率のタイトルと新人王、そして沢村賞まで獲得した。

 西村と違ったのは長く活躍したこと。1年目から13年連続2ケタ勝利を飾るなど通算203勝。V9巨人の大エースとなり、監督も2年務めた。

 甲府商とライバル関係にある甲府工は、県内2位の春夏13回出場。夏の初出場は昭和37年で、遊撃手が佐野嘉幸だった。プロ生活は東映で始まり、南海と広島ではリーグ優勝に貢献。広島、大洋など4球団のコーチとなり、独立リーグ・信濃の監督も務めた。

 同39年春の出場チームでマスクをかぶっていたのが中沢伸二。阪急黄金時代の正捕手で日本シリーズ3連覇に貢献した。現役には山村宏樹がいる。平成5年夏にエース・4番で出場し、ドラフト1位で阪神入り。近鉄で先発として活躍し、現在は楽天にいる。

 夏3回出場の吉田高は、プロで渋い働きを見せた選手を出した。大洋の外野手で、通算代打安打122本の球団記録(プロ野球歴代5位)を持つ長田幸雄。小柄ながら腕っ節が強く、愛嬌(あいきょう)のある顔から「ポパイ」の愛称で親しまれた。田辺徳雄は昭和58年夏に出場。西武で長く遊撃のレギュラーを張った。現在はコーチ。平成元年夏にエースで出場した井出竜也は、日本ハムで中堅手としてゴールデングラブ賞2回。現在はソフトバンクのコーチを務める。

 東海大甲府は、県内最多の甲子園14回出場。昭和61年夏に2年生ショートとして出た久慈照嘉は、日本石油から阪神入りして新人王に。中日でも名遊撃手として活躍した。現在は阪神コーチ。ヤクルトの先発左腕として活躍する村中恭平は、1年生時の平成15年夏の出場だ。

 同じ私学勢の山梨学院大付からは、俊足自慢のプロ3選手。巨人・松本哲也に、同期生の楽天・内村賢介とソフトバンク・明石健志がいる。

 速球派右腕の木田優夫は日大明誠の出身。巨人のドラフト1位で、大リーグ3球団やオリックス、日本ハムでも先発やリリーフで活躍した。

 「ミラクル市川20周年記念パーティー」が開かれたのは、ことし6月25日だった。山梨勢の甲子園で記憶に残るのは、平成3年の市川高だ。春は2試合連続の逆転サヨナラ勝ちで4強。夏も8強に入った。パーティーには、当時のエース・樋渡卓哉(慶大中退)らのメンバーが集まった。樋渡の弟・勇哉(立大)もエースで同6年夏に出場。市川は春夏5回の出場ながら10勝を稼ぎ、県内では東海大甲府に次ぐ数字。5回のうち4回が8強以上という抜群の実績を誇る。

 「ミラクル市川」の復活を願う、甲子園のファンは多い。=敬称略

 

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