プロ野球のキャンプインが目前に迫ってきました。各チームとも選手の1、2軍の振り分けが話題ですが、3年ぶりのV奪還を目指す巨人では、昨年股関節を手術したストッパー久保裕也投手(31)が2軍スタートとなりました。
実は、久保投手には去年の開幕直後に「おそらくオフには手術をしなきゃならない。今年はごまかしながらやりますよ」と聞いていました。そんな状態で1年間を乗り切れるのかなと思っていましたが、終わってみれば67試合に登板して4勝2敗20S、防御率1・17と見事な数字を残したのだから大したものです。
活躍の陰には工夫がありました。当初、高く上げて踏み出していた左足を、あまり上げずひざを伸ばしたままつま先で地面すれすれに弧を描くようにフォームチェンジ。実況していても、ハッキリとわかるくらいの大変化です。先日、自主トレの合間に本人が説明をしてくれました。
「痛みがあるから、足を上げるときはおっかなびっくりだったんです。粘れずに骨盤が開いちゃってるなと思ったから、肩を入れるようにして開きを防ぎました。あのままの投げ方だったらひじや肩を痛めていたと思います」
よくは分かりませんが、シーズン中に故障を抱えた状態で冷静に自己分析をして、大胆なフォームチェンジをする。そこまでして最高の結果を残せる投手って、プロの世界でもどれくらいいるんですかねぇ。
もちろん練習のたまものなんでしょうが、加えて久保投手の卓越したセンスを感じます。
練習前にミニサッカーに興じ、ちらっとみせるリフティングやドリブルはプロはだし。もちろん、ご存じの通り彼の持ち球のストレート、カット、カーブ、フォークなどどれも一級品です。シビれる場面でも、人を食ったようなスローカーブを投げられるストッパーは彼以外にいません。要は天才肌なんですよね。
「故障によって学んだこともありました。1から10まで全力で投げていたのが、7くらいまで力を抜いて8から10に力を入れるみたいなコツがわかったんです」と久保投手。図に乗って、こんなこともきいてしまいました。
「俺も昨年、東京マラソンで派手に転んだんだけど、かえって力が抜けたのか自己ベストが出たんだ。それと同じようなことかな?」
なんとも失礼な質問ですが「いやホント、そういうことだと思いますよ」と笑顔で合わせてくれました。昨年の活躍で、余裕と自信が出てきたんじゃないかな。
全快すれば昨年以上の活躍は間違いなし。今年も巨人のストッパーはバッチリ不動です。
■松本秀夫(まつもと・ひでお) 1961年7月22日生まれ、東京都出身。早大卒、85年ニッポン放送入社。スポーツ部アナウンサーとして「ショウアップナイター」の実況などを担当。2005年ロッテ優勝決定の試合での号泣実況のほか、数々の名言がある。
