補欠⇒甲子園アイドル!これだから野球は面白い

2012.01.29


両リーグ本塁打王山崎武司【拡大】

 「バンビ」の愛称で甲子園のアイドルになった坂本佳一は、50歳になった。現在は岡谷鋼機(名古屋市)でサラリーマン生活のかたわら、NPO法人「フィールドオブドリームズ」を立ち上げ野球の普及活動のほか、高校野球の解説者も務めている。

 坂本は、たった1度の甲子園で大きな光を放った。昭和52年夏。硬球を握ってわずか5カ月だった。東邦高の1年生右腕は高松商、黒沢尻工、熊本工、大鉄を破ってアッという間に決勝進出。か細い体に笑顔…。判官びいきのファンの心をつかんだ。剛腕・松本正志(のち阪急)を擁する東洋大姫路との決勝は1−1の延長10回、決勝史上初のサヨナラ弾を浴びる。散り際も悲劇的だった。

 中学時代は軟式野球部で外野の補欠。名古屋電気高(現愛工大名電)のセレクションを受けたが、きゃしゃな身体を理由に落とされた。一般入試で東邦へ。「打倒・名電。見返すことができる学校を選んだ」。入学式が済むと、その足で野球部監督・阪口慶三を訪ねて入部を申し出た。エリート揃いの東邦。一般入試からの入部も、阪口に入部を直訴した生徒も珍しかった。

 投手の才能を見いだされ、1年夏の県大会から背番号10でベンチ入り。決勝の名古屋電気戦で先発に起用され、6−1で勝利投手となった。いきなり「打倒・名電」を果たしての、甲子園出場だった。

 だが投手・坂本はその1年で終わった…といってもいい。2年夏の県大会は決勝で敗れ、3年夏は3回戦で、名古屋電気に今度は阻まれた(0−1)。法大に進んだが、イップス(精神的な原因などによる運動障害)もあって投げられず、日本鋼管では2年で現役を引退。社業に専念した後、現在の岡谷鋼機に移った。講演活動では、選手時代の苦い経験として“光と影”を語る。

 愛知県勢で中京大中京が全国一の伝統と実績を誇ることは、前回で紹介した。他校は、その最強の王者に挑戦し続けてきた。その筆頭が東邦(旧東邦商)だ。大正5年に創部され、春・夏42回の甲子園で66勝。優勝4回(春のみ)、準優勝3回(春3、夏1)は、全国でも指折りの実績だ。

 「君を監督にしたのは、中京に負けるためではない」

 昭和42年、愛知大を出て22歳で監督となった阪口は37年間、母校を率いた。当時、校長から言われた言葉が、大垣日大(岐阜)の監督に転任した現在でも忘れられない、という。

 阪口の教え子には、まず山倉和博。甲子園は昭和48年春夏出場で、早大からドラフト1位で巨人に入った。長く正捕手を務め、62年には球団史上初めて、捕手としてシーズンMVPを獲得。意外な場面で長打を放ち、「意外性の男」の異名がついた。

 同じ捕手の山田勝彦は阪神などでプレーし、現在はオリックスのコーチ。平成元年のセンバツ優勝左腕・山田喜久夫は中日、広島で投げた。同11年春夏出場の右腕、中日の朝倉健太らがいる。

 東邦のバンビ・坂本が、個人的に「宿敵」と位置づけた愛工大名電は、春夏12回出場で優勝1回。3人の大選手を輩出した。

 工藤公康は昭和56年夏に4強入り。長崎西戦で、金属バット採用後初のノーヒットノーランも達成した。西武、ダイエー、巨人で日本一に貢献。実動29年(歴代1位)で224勝をマーク。昨年、48歳で現役に別れを告げた。

 史上3人目の両リーグ本塁打王となった山崎武司は、43歳の今季から古巣の中日に復帰。プロ26年目を迎える。

 もう1人は、言わずと知れたイチロー(鈴木一朗、オリックス−マリナーズ)だ。甲子園出場は平成2年夏(3番・左翼)と翌3年春(3番・投手)。ともに初戦敗退で、打撃も計9打数1安打に終わっている。

 中日の堂上兄弟もいる。兄・剛裕は平成16年春、4番・主将で準優勝。弟・直倫は翌17年春、2年生4番で初優勝を飾った。

 プロ最高の左腕投手、最多記録の400勝&4490奪三振の金田正一は亨栄高(旧亨栄商、春夏19回出場)の出身(中退)。後輩には、昭和58年春に11打席連続出塁の大会記録をつくった強打者・藤王康晴(中日−日本ハム)、同61年春夏出場の左腕で、中日でプロ史上初の初登板ノーヒットノーランを達成した近藤真一(現コーチ)らがいる。

 中京大中京よりも創部が古く、昭和11年春に優勝経験がある愛知商(春夏18回出場)は県立校。昭和21年夏出場で、巨人V9時代の名参謀・牧野茂(明大−中日)が出た。

 同じ県立で、春夏7回出場を誇るのが大府高だ。昭和56年春出場の槙原寛己は、巨人の主力投手として活躍し、2ケタ勝利8度の159勝。赤星憲広は2回の出場があるが、当時は内野手で2つのタイムリーエラーを犯し、「甲子園にいい思い出がなかった」。だが、その球場を本拠地とする阪神で走りまくり、1年目から5年連続で盗塁王となった。=敬称略(次回は県岐阜商)

 

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