広島県勢の“王者”に上り詰めた広陵高

2012.03.18


金本知憲【拡大】

 大正から昭和、広島県の高校球界は広島商と広陵高(旧広陵中)が長い「2強時代」を形成した。明治32年創部の広島商に対し、広陵は同44年に創部。当時は「球術部」という名称だった。

 全国大会の初出場も、広島商が大正5年の第2回大会なら、広陵は同12年。以来、「春の広陵 夏の広商」と呼ばれ続ける。

 広島商は全国優勝7回のうち夏に6回。広陵は優勝3回全てが春で、準優勝も6回中、4回がセンバツでのものだ。

 夏の成績が重視される高校野球。「2強」とはいえ、広陵は一歩下がった地位にいた。だが、平成に入ると立場が逆転。広陵が一気に“王者”の座を奪い取った。

 平成以降に限れば、広島商は5回の甲子園で通算5勝(8強1回)。広陵は12回で優勝2回、準優勝1回の26勝…。県内の王者どころか、全国でも屈指の実績を誇る。通算の甲子園成績も出場回数43回(春21・夏22)の広島商に対し、広陵は42回(春22・夏20)と肉薄。勝利数では66勝(全国7位タイ、春37・夏29)で、広島商の62勝(同9位、春19・夏43)を追い抜いた。

 広陵の「創部100周年記念祝賀会」は昨年12月、広島市内で行われた。古いOBとともに、現役のプロ選手も壇上に立った。その数が10人を超えたのも“広陵時代”を象徴していた。

 代表するのが阪神・金本知憲だ。甲子園出場はないが、多くの“挫折”を乗り越えて現在の地位を築いた。

 リトルリーグでは練習についていけずに1年で退団。広陵卒業時に中大のセレクションを受けたが不合格。ヤクルトの入団テストにも落ちた。1年浪人し、東北福祉大に一般入試で合格。そこから野球人生を切り開く。大学を全国レベルに押し上げる主力になり、広島に入団。以降の活躍は言うまでもない。

 1492試合連続フルイニング出場など、数々の“鉄人記録”を持つ金本も、4月3日で44歳。プロ21年目の今季は2500安打(あと53)、1500打点(同9)、500本塁打(同30)などの記録に挑む。

 日本ハムの二岡智宏と阪神の福原忍は、広島・三次市生まれで小−中−高と同窓。中学までは二岡がエースだった。広陵3年時は福原がエースで二岡は投手兼三塁手。

 近大から巨人入りした二岡は、1年目から遊撃のレギュラーに。2年目にリーグ優勝を決めたサヨナラ弾が光る。

 福原は東洋大から阪神入り。150キロ台の速球で先発、抑えにフル回転した。昨年から中継ぎで復活。ともに今季はプロ14年目を迎える。

 楽天には、左腕・佐竹健太(広島から移籍)と内野手の稲田直人(駒大−NKK)が在籍。平成13年春の甲子園では主将で4番の新井良太は、駒大から中日入り。昨年から兄・貴浩(広島工出)と同じ阪神でプレーする。

 巨人の西村健太朗と広島の白浜裕太のバッテリーは、4季連続の甲子園。平成15年春に全国制覇した。1番を打った1年後輩の上本博紀は、早大から阪神入り。さらに1年後輩の藤川俊介(近大)も阪神に入った。

 古きOBにも、球史に残る名前が並ぶ。広陵中を1度退学して復学した田部武雄は、昭和2年春に21歳で準優勝投手となった。巨人軍結成時の1番打者。巨人で最初に背番号「3」と「1」をつけた選手として知られる(昭和44年殿堂入り)。バットを体の正面に立てて構える「神主打法」の元祖が岩本義行だ。南海の初代主将で、松竹時代に史上初の3割・30本塁打・30盗塁。東映と近鉄の監督も務めた(昭和56年殿堂入り)。

 ロッテの監督として昭和45年にリーグ優勝したのは濃人渉。門前真佐人は阪神の契約選手第1号で、強肩・強打の捕手。1試合5盗塁阻止の記録を持つ。気性の激しさから「地震・雷・火事・門前」と恐れられた。1年後輩に、昭和10年春準優勝メンバーの白石勝巳がいる。巨人第1期黄金時代の名遊撃手で、「逆シングル」キャッチを編み出した。広島監督時代には、巨人・王貞治対策に「王シフト」を考案。巨人復帰後はヘッドコーチや2軍監督を務め、V9に貢献した(昭和60年殿堂入り)。

 このほか、サンケイ−ヤクルトの主力打者で、2軍監督なども務めた福富邦夫。本格派右腕として甲子園を沸かせ、広島などで2ケタ勝利5回の佐伯和司らがいる。

 そして今年、平成19年夏の準優勝メンバー、エースの野村祐輔(明大)と、主将で三塁手だった土生翔平(早大)がそろって広島に入団した。

 広島県内には、新興勢力の台頭がある。平成に入って7回甲子園出場の如水館高を率いるのは、迫田穆成。前回で紹介した、広島商が昭和48年春に怪物・江川卓(作新学院)を攻略し、夏は全国制覇を飾ったときの監督だ。「2強時代」に長く広島商を率いた宿敵。広陵にとっては、新たな“広商野球との戦い”が始まっている。=敬称略(次回は鳥取県編)

 

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