中日、楽天などで活躍し、昨季限りで27年間の現役生活に別れを告げた山崎武司氏(45)が本紙の水曜週替わりコラムに新登場。紙面デビューとなる第1回は、楽天時代の後輩で、7年総額1億5500万ドルでヤンキース入りが決まった田中将大投手(25)への直言だ。今月19日、名古屋市内で開かれた山崎氏の引退記念パーティーに出席し「山崎さんから野球のいろはを教えてもらった」と明かしているマー君への、贈る言葉は。
田中将大は僕が在籍していた楽天に、甲子園を沸かせたスーパースターとして鳴り物入りで入ってきた。2007年のことだ。正直いって、春季キャンプで見た第一印象は「こんなもんか」。すごいとは思わんかった。
いずれ1軍に出てくる素材であることは疑わなかったが、まだ高校生。プロの打者を抑え込める球ではないと思った。
だが、田中は1年目から先発ローテーションを守りきり11勝(7敗)を挙げた。それも素晴らしいことだが、実は僕が最初に「すごい。こいつはただもんじゃない」と心底驚かされたのは、ピッチングではない。
あいつ、1年目はクイックモーションがめちゃくちゃ遅くてシーズン中、相手に結構走られた。それを指摘されると、2年目のキャンプ期間中にしっかり直しよった。
口で言うのは簡単だけど、クイックを早くすれば球速は落ちるし、自分のフォームで投げさせてもらえないから制球もつかない。ところがプロ2年生が短期間で直した。そんなにすぐ直すやつは見たことがない。対応能力がすごいと思った。