阪神の課題は攻撃面での得点力アップ。そのため新助っ人のマウロ・ゴメス内野手(29)=前ナショナルズ=を獲得したが、思わぬ弊害が生まれようとしている。
沖縄・宜野座キャンプの17日。和田監督は4番候補の助っ人について「打つために来ているから、あまり負担をかけてもな」と一塁での起用を明言した。
当初は「4番・三塁」を期待されていたが、昨季主にプレーしたブルージェイズ3Aでは大半が一塁とDHでの出場。三塁は10試合だったことから指揮官は「経験が少なすぎる」と否定した。
ゴメスの一塁が確定したことで弾き出されるのが、昨年まで同ポジションを守ってきた新井貴だ。
今キャンプでは右肩痛が癒え、三塁の守備練習をする機会も増えているが、和田監督は「一塁で勝負すると思っているんじゃない? そういう気持ちを見せている」とゴメスと競わせる方針。球団関係者も「新井の三塁での守備練習は基本を教え込むためでしょう。本人も三塁で勝負しようとは考えていないはず」とみている。
昨季後半の失速を考えれば備えも必要。新井貴が一、三塁を守れれば戦力に厚みが増す。ただ、チーム本塁打数は2012年が58本、13年が82本と2年連続でリーグ最下位。総得点も12年が411点でリーグ最少。昨季も531点でリーグ5位と過去2年、得点力不足が続いている。
ちなみに昨季の新井貴は140試合に出場し打率・267、70打点、チーム2位の15本塁打。大量点が期待できる大砲が、どちらか一方しか先発起用できないとなれば、得点力アップにも暗雲が立ちこめそう。
セ球団スコアラーからも「一発警戒は新井、ゴメス。ただ、出れるのは一人だけでしょ。もったいないよね」と不適な笑みを浮かべる。
このままでは長距離砲のつぶし合い。助っ人と元本塁打王の一塁バトルも痛しかゆしのようだ。