差別発言で追放されたド軍副会長

2014.05.11

 「口は災いの元」という諺がある。先日、NBAクリッパーズのドナルド・スターリング・オーナーが人種差別発言で永久追放され、約2億5000万円の罰金を科された。まさに典型的な例と言えよう。

 大リーグにも黒人に対する差別的発言の責任を取り辞任に追い込まれた人物がいる。ドジャース一筋44年、ウォルター・オマリー会長の代から働いた功労者で「ドジャースの顔」だったアル・キャンパニス副会長だ。

 1987年、テレビ番組で「野球界に黒人監督が少ないのは偏見のためか?」の質問に「彼らがGMや監督になるべき何らかの資質に欠けているからに過ぎない。多くは言わないが、フットボールのQBにも少ない」と答えた。さらに「黒人に優秀な水泳選手がいないのは彼らが浮力を持たないからだ」。球界内外から大きな批判を浴び、慌てて謝罪声明を出したが手遅れ。息子ピーター・オマリー会長の勧告を受け球界から姿を消した。

 実はこの番組、ド軍OBの黒人投手、ドン・ニューカム(元中日)が出演するはずだった。だが飛行機に乗り遅れて時間に間に合わず。急きょ、キャンパニスが代役に出たら、この騒ぎ。運がなかったとも言える。

 キャンパニスは43年、ドジャースに入団した当時は遊撃手。マイナー時代に初の黒人大リーガー、ジャッキー・ロビンソンと二遊間コンビを組んだ。その後、スカウト部長を経てGMに就任。最初の仕事は息子をトレードに出すことだった。チーム作りの名人であり、名著「ドジャースの戦法」を出版。日本で巨人V9のテキストとなり大いに話題を呼んだ。川上哲治監督の名参謀だった牧野茂ヘッドコーチがボロボロになるまで読みふけったという。

 親日家で宝塚歌劇が大好き。パンチョ伊東さんから東京宝塚劇場で「ベルサイユのばら」を共に楽しみ、終演後にタカラジェンヌたちと会食した話を聞かされた。彼に当時の話を訊くと「ワンダフル!」を連発していた。

 折しも、87年はロビンソンのデビュー40周年だった。それを記念し、全米各地の球場で彼の背番号42が二塁に描かれた。そんな節目の年にキャンパニスが辞任に追い込まれるとは…。因縁めいたものを感じずにはいられなかった。

 ■福島 良一(ふくしま・よしかず) 1956年10月3日、千葉県市川市生まれ。1973年高校2年で初渡米して以来、毎年現地で大リーグ観戦。故・伊東一雄氏を師と仰ぎ、大リーグ評論家となる。現在は専門誌などへの執筆や、テレビ、ラジオなどで評論活動を展開、ツイッターでも発信中。主な著書に「大リーグ物語」(講談社現代新書)、「大リーグ雑学ノート1、2」(ダイヤモンド社)、「日本人メジャーリーガー成功の法則 田中将大の挑戦」(双葉新書)などがある。

 

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