阪神が、海外FA権を行使し米大リーグ移籍を狙う鳥谷敬内野手(33)の残留を勝ち取るための秘策は、大型契約でも監督手形でもなく、あの“大物選手”の獲得断念しかない。
鳥谷は26日、都内でのNPBアワーズに出席。選出されたベストナインの表彰式に臨んだ。もっか球団から残留要請を受けているが「何を言われても気持ちが変わるわけではない。向こう(米国)の状況をしっかり把握して考えて決められれば」と強調した。
米球団との交渉は厳しそうだ。当初はナショナルズなど数球団が獲得に向けて調査し移籍は確実とみられたが、メジャー契約のオファーはないとされる。鳥谷も授賞式後に再度、報道陣に囲まれると「さっき話したから、もういいでしょ」とピリピリムードだ。
阪神には追い風。南球団社長も「年内に(再度)話し合いをしたい」とラブコールを送っているが「大型契約、監督手形と好条件を提示すればするほど、逆効果になるのでは」と球団関係者は指摘する。
球界屈指の遊撃手の決断を、チーム内や虎党から後押しする声が続出しているが、メジャー契約を得られず好条件の阪神に残留すれば「結局、それが目的か」との噂が立ちかねない。最近では川崎や田中賢らマイナー契約でも海を渡った日本人内野手が多いだけに、なおさらバツが悪い。となれば、残留しやすい環境をいかに作り出せるか。
ウルトラCは、アスレチックスからFAとなった中島の獲得断念だ。4年12億円ともいわれる破格条件にチーム内から「本当に必要なのか?」と疑問の声が挙がっている。「中島を断念すれば戦力ダウンは明らか。鳥谷に残留を求める声は続出するだろう。残留を決めても『阪神のために残ってくれた』と男を上げる状況も生まれる」(同関係者)とすすめている。