ヤンキースの田中将大投手(26)は12日(日本時間13日)、フロリダ州タンパでブレーブスとのオープン戦に今季初登板し、2回を打者6人でパーフェクトに抑えた。手術を回避した右肘靱帯部分断裂の影響が懸念されたが、19球、2奪三振の完璧な内容。球威、制球ともに安定し、スプリッターの切れも申し分なし。完全復活を印象づけた。
本人よりも周囲が固唾をのんで見守ったオープン戦初登板。田中は落ち着き払った様子でマウンドに上がり、最高のスタートを切った。
1回、先頭のシモンズを外角低めによく制球された速球とスライダーで簡単に追い込むと3球で遊ゴロ。2番カヤスポは2球で二ゴロ。球宴2度出場の強打者、3番フリーマンは低めのスライダーで見逃し三振に打ち取った。
最速は94マイル(151キロ)。やや抑えながらの投球だったが、スライダー、スプリッターの仕上がりも上々で、TV中継の解説者は「シャープだ」と絶賛した。
2回も危なげなかった。4番ゴームズは真ん中から大きく落ちるスプリッターで空振り三振。後続も遊ゴロ、三ゴロに退けた。ストライクが先行し、甘い球は1球もなかった。
35球程度を予定していたが、2回を投げ終えた田中にジラルディ監督が歩み寄り、話し合ったあと降板。ブレーブスのゴンザレス監督が1回裏に球審のボールの判定に抗議して、わずか1球で退場となるハプニングがあったが、田中は全く気に懸ける様子もなかった。
田中は「少ない球数で抑えることができたので言うことはない。一発目で緊張はもちろんした。今年もいよいよ始まっていくなという感じ。無事に終われたので、ほっとしたというのが正直なところ」と穏やかな表情。
試合前のニューヨーク・メディアの関心は田中の肘に集中した。レンジーズのダルビッシュ有投手(28)にも右肘靱帯の部分断裂が見つかったばかりで、「これは田中に対する警告でもある」と伝えたメディアもあった。
しかし、キャッシュマンGMは「田中が今後10年健康でいるのかどうかコントロールできないことだ。事態が悪化したら最善の措置をとるだけだ」。
とりあえず首脳陣は胸をなで下ろしたというところだろう。