まさかの、といったら失礼だろうか。昨季まで2年連続最下位、今季開幕前の下馬評も低かったヤクルトが27日現在、セ・リーグ単独首位の快進撃を演じている。要因は投手陣の変貌だ。昨季のチーム防御率は両リーグを通じワーストの4.62。今季は逆に、12球団No.1の1.74へと劇的改善を遂げている。その背景には、昨季オフに行われた本拠地・神宮球場のリニューアル工事がある。マウンドの改修、7年ぶりの人工芝張り替えが、燕軍団を後押ししている。 (宮脇広久)
今季のヤクルト投手陣からは、セ防御率10傑に3人がランクイン。2位・石山(0・69)、3位・小川(0・76)、5位・石川(1・29)と上位に顔をそろえている(27日現在、以下同)。
守護神・バーネットは11試合に登板し計13イニング無失点、リーグトップタイの7セーブ。セットアッパーの新外国人右腕オンドルセク(前レッズ)も安定感抜群だ。
この躍進は、神宮球場のリニューアルが影響していることは間違いない。今季は神宮で9勝3敗。他球場(松山での主催1試合を含む)では6勝7敗と対照的だ。
マウンドは投手陣の要望をうけ、粘土のブロックを埋める工法で昨季より硬く、傾斜も急になった。エース・小川は、オープン戦の3月20日・ロッテ戦こそ5回7失点と大荒れだったが、開幕後は4月17日・横浜DeNA戦で7回1死までパーフェクトに抑えるなど快投を続けている。
「傾斜が緩やかだと、上げた左足が早く着地してしまう感覚があった。急になったことで(投球フォームに)“タメ”ができた。僕のようなオーバースローは、しっかり投げ下ろせるようになったとも思います」。硬さも「人によって好みは分かれると思いますが、マウンドが掘れすぎるのはよくない。特に(試合終盤に登板する)リリーフの方は、投げやすくなったのでは」とみている。