阪神・能見篤史投手(36)が3日、兵庫・西宮市内の球団事務所で契約交渉に臨み、現状維持の年俸1億4000万円(推定)で更改した。
「自分としては物足りないと感じた。ここ2年、負け越しているので、その辺りをどう打破するのか考えないといけない」
年俸は変わらなかったが表情は険しい。今季は2年ぶりに2ケタ勝利(11勝)をあげながら13敗と2年連続で負け越し。シーズン終盤には中継ぎで登板したが痛打されチームは失速。「迷惑をかけてしまった部分もある。(中継ぎは)精神的な部分ですごく疲労があった」と振り返った。来季に向けては「年齢に甘えることなく、しっかり完投数を目指したい」と目標を設定した。
そのためとして、筋力のアップとともにメンタル面の強化を目指す。今季の東京ドームでの巨人戦では「狭さに重圧を感じるというか、(味方が)点がとれないときほど重圧は倍になる」。実際に2戦2敗で防御率9・58と散々だった。
そんな左腕の意気込みに対し、球団OBが「もの足りない」と待ったをかけた。
今オフでは、金本新監督がクールな主将・鳥谷に闘志を前面に出す意識改革を迫り、二塁の定位置の再奪取を狙う西岡には「ダメなら外野転向」とブチあげている。能見にも「まだベテランの投球は期待していない。もっとスピードも上がる」とゲキを飛ばしている。だが同OBは「1軍のマウンドが保証されているわけではないことを示すべきだ」と強調する。
「彼の弱点は軸足の膝が曲がり球離れが早いこと。球速があっても打者が見極める時間を与えすぎている。先発の頭数の問題もあるが、直球の質も戻っていないだけに、結果を出せなければ中継ぎへの配置転換もあると話した方がいい」
ベテラン左腕がさらにひと皮むけるためにも、今オフは正念場だ。 (山戸英州)