ソフトバンクの新外国人ロベルト・スアレス投手(25)=前メキシカンリーグ=が評判だ。12日のロッテ戦(ヤフオクドーム)こそ2−2の9回に決勝打を浴び、来日初黒星を喫し、チームの連勝も「8」で止まったが、11試合に登板して1勝1敗6ホールド、防御率1・46。MAX158キロの直球で投げるごとに存在感を増しており、球界では「究極の掘り出し物。会心の外国人補強」と高く評価されている。この右腕の獲得に際し、球団は6年目右腕バリオスが持つパイプを利用した。
スアレスには米大リーグの3A球団でプレーしている兄がいるが、実はバリオスと同じマネジメント会社に所属。バリオスの代理人が球団編成部に「メキシカンリーグに異色の経歴を持つ原石がいる」とスアレスの存在を伝えたのだ。
スアレスは母国・ベネズエラで高校卒業後、昨年3月まで建築現場の作業員を務めていた。その傍ら週末に草野球を楽しんでいたが、右腕から繰り出す剛球が球界関係者の噂となり米球団の注目を集めていた。
ソフトバンクはメジャーに先立って昨年6月から調査を開始。8月には編成部員を現地へ送り込んだ。それだけにスアレスは「真っ先にニッポンのホークスが僕をみつけてくれた」と米球団のオファーをすべて断り、日本行きを決めたという。
そんな右腕を佐藤投手コーチは「彼はスポンジだよ」と評する。練習で初めてクイックなどを指導するとすぐにマスター。貪欲にプロの技術を吸収しているからだ。「向上心と反骨心を備えた、非常にクレバーな剛腕」(編成担当者)。ジャパニーズ・ドリームを目指すスアレスの、今後の奮投に期待したい。 (スポーツライター・梶原昌弥)