作新学院・小針崇宏監督(1) 青年監督を導いた 亡き“師匠”の言葉

★作新学院・小針崇宏監督(1)

2016.10.14

懐かしの“尾藤スマイル”ばりの笑顔で選手を導く小針監督
懐かしの“尾藤スマイル”ばりの笑顔で選手を導く小針監督【拡大】

 夏の勢いは、秋になっても衰えない。今夏の甲子園大会で優勝した33歳の青年監督・小針崇宏が率いる作新学院の新チームは、秋の栃木県大会をも制覇。来春のセンバツ大会出場がかかる22日からの関東大会出場を決めた。

 「目の前の1試合、1試合に集中します」。小針は大きなことを言わないタイプ。だが、新チームの手応えは十分にあるはずだ。

 甲子園優勝投手の今井達也に代わる新エースの大関秀太郎は、県大会の勝負どころだった準々決勝と準決勝を連続完封。決勝も1失点で完投した。大黒柱を中心に、小針が目指す「グラブを持って攻める。投げて攻める野球」は新チームにも受け継がれている。

 小針には、今は亡き“師匠”との出会いがあった。筑波大を出た直後の2006(平成18)年秋に23歳で母校の監督になったが、指導者としてはほとんど“独学”でスタート。3年目の09(同21)年夏に甲子園初出場を果たしたが、初戦で長野日大に8−10で苦杯をなめた。

 「あの敗戦は監督の差が出たと思う。相手に先に手を打たれ、こっちはただ見ているだけだった」

 乱戦では監督の能力が勝敗を分ける。甲子園初采配で受けた洗礼に落ち込んだ小針だが、その冬、再び甲子園に向かった。日本高野連が主催する指導者講習会の「高校野球・甲子園塾」に参加したのだ。

 そこで、講師を務める尾藤公の話を聞く機会を得る。和歌山の公立校・箕島を率いて春夏連覇を含む4度の優勝を飾った名将は当時、すでに監督を勇退して“高校野球の監督の先生”という立場にいた。

 尾藤の言葉は小針の心を揺さぶった。「選手には愛情を持って接しなければいけない。厳しいことは言ってもいいが、愛情をもって叱ることです」

 “尾藤スマイル”で知られた尾藤だが、実は学校のグラウンドでは笑顔をみせたことがなかった。それでも選手には「俺とお前たちは恋愛をしている間柄」と話し、「監督と選手は恋愛関係にないとうまくいかない」が持論だった。

 小針はそれ以降、自分で選手に意思を伝えるようになった。ミーティングで涙を流して語りかけたことは数え切れない。そして就任10年目、尾藤との出会いから7年目に全国の頂点に立った。

 尾藤は11(同23)年にこの世を去った。人知れず涙した小針はいま、「神様が与えてくれた幸運」に感謝している。指導者としての自分を変えてくれたあの講習会は、その後に病気で倒れた尾藤にとって最後の講師役だった。 =敬称略

 

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