震災で興行中止は50以上 外国人も来日キャンセル

2011.03.25


来月8日の初防衛戦に向けて調整する長谷川だが、試合は無事に行われるのだろうか【拡大】

 未曽有の被害をもたらした巨大地震。人命が失われている中でスポーツ文化を楽しむことへの是非が球界の問題となっているが、格闘技界でも関係者の頭を悩ませている。

 当初、被災した東北地方や会場が損傷した後楽園ホールなどの約20興行が早々に延期となっていたが、その後に開催中止は倍増した。

 地震による直接の損害のみならず、放射能汚染への不安や、交通機関のマヒ、計画停電など混乱…分かっているだけでも全国50以上の興行がキャンセルされた。

 多くの中小団体が自転車操業的な運営を行っている中では各団体の経済的ダメージも大きく、一部で3月中旬の大会開催を決めたプロレス団体は「被災者を元気づけるため」と表向きの理由を示したが、実際には「大会場の大会だけでも開催しないと資金繰りが危ない」という本音が漏れてきている。

 そんな中、さらに業界を襲ったのは、外国人選手の渡航キャンセルだ。国によっては実際の被害より大きく報じられていたり、外務省から日本への渡航を控える通達も出ている。

 27日に神戸で世界ランカーの野中悠樹(尼崎)と対戦予定だったインドネシアのボクサー、東洋14位のバンバン・ルサディは「放射能が怖い」と来日を拒否してしまった。

 4月に試合予定のタイ選手も日本のジム関係者に「成田空港に行くと被ばくして入院が必要というのは本当か?」と質問、二の足を踏んでいる。

 また、在日外国人の間でも風評被害は広まっており、千葉県にある中堅ジムのアメリカ人練習生は17日、退会届を提出。「練習生は、在日米軍の友人から首都圏はあと3カ月ぐらいで人が住めなくなると聞いた、と言っていた」と同ジム会長。事態が事態だけに慰留を説得する材料に乏しく、これにはお手上げだ。

 選手関係者だけでなくファンの間でのチケット買い控えも顕著だ。来月8日、注目されるプロボクシングの3大世界タイトルマッチ、長谷川穂積、西岡利晃、粟生隆寛の世界王者がそろう両国国技館興行は、本稿締め切り時点で開催の方向だが、ファンの間で「中止になるのではないか」という噂も広がっており、前代未聞の悪影響は歯止めがきかない。

 試合を見ている場合ではないのかもしれないが、格闘技界を見ただけでもこれだけの損失なのだから、日本の経済被害は予想以上に深刻だ。(ジャーナリスト・片岡亮)

 

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