格闘技界も“政治力”がモノ言う時代

2011.12.23


大晦日興行をアピールするアントニオ猪木【拡大】

 日本の格闘技界が国際政治力という課題に直面している。

 WBA世界スーパーフライ級王者・清水智信(金子)がWBAから休養王者と認定された騒動は、そもそも清水側が亀田ジムに世界挑戦の協力を依頼したことに始まっている。

 清水の防衛戦の興行権も得た亀田サイドは、その後ウクライナで開催されたWBA総会にまで足を運び、清水を休養王者に置いて、亀田大毅のタイトルマッチ出場という流れを作った。ファンからはWBAをも懐柔する亀田ジムの巧妙な手口に批判が集まったが、これは逆に考えれば政治力で金子ジムに勝ったということでもある。

 大手の帝拳ジムも15日、ラスベガスで開催されたWBC総会に西岡利晃ら世界王者3選手を出席させた。そのひとり山中慎介が11月に王座を獲得した試合は、試合3日前まで挑戦者決定戦だったところをWBCが王座決定戦に格上げしたもの。帝拳とWBCの太いパイプによる優遇は明らかだった。

 これには「業界で新参者の亀田ジムでもやれることを、歴史ある他のジムがやってこなかったのは怠慢だった」と都内ジム会長も反省の色を見せる。

 その背景には日本のボクシング界が自らを守るために作ったジム制度が考えられる。プロ加盟には高額の加盟金や近隣ジムの承認を必要とさせ、ジムの増加を防いだ。一部テレビ局と契約する有力ジムだけが世界戦興行を牛耳る排他的な世界は、“仲良しこよし”なムラ社会となり、亀田のような強烈な侵入者に先を越されてしまう結果を生んだ。

 同様にDREAMやK−1といった格闘技団体の凋落も、国内テレビ放送の人気ばかりに頼り、世界規模のビジネスに出る海外団体に圧倒された結果だ。

 ボールを使う格闘技といわれるラグビーは、かつては野球や相撲に並ぶほど高い人気を誇ったが、1987年からW杯が始まると、日本代表が海外チームに惨敗。「これを救えなかったのはアジア一体の人気を構築できなかったことです。2019年のW杯誘致には成功しましたが、その課題は残る」と専門誌記者。

 今年の大晦日はTBSが井岡一翔(井岡)、テレビ東京が内山高志(ワタナベ)のボクシング世界戦を中継。衛星放送では、石井慧とエメリヤーエンコ・ヒョードルの試合が実現する「元気ですか!!」が放送される。不況下での3大興行は奇跡の競演だが、一方で来年以降の躍進につながるかは、国際政治力の強化にかかっているのではないか。(ジャーナリスト・片岡亮)

 

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