最愛の母の死で思うこと

2013.03.20

 私事で恐縮ながら最愛の母が今月他界しました。享年97、眠るような大往生でした。

 本当に大切なものは、失ってから初めてその価値が分かるものでありまして、なぜ今まで母の存在を気にかけなかったんだろう、もっと親孝行をしなかったんだろうと悔やんでおります。

 大正6(1917)年、農家の8人兄弟の長女として生まれた母は本当は進学したかったのでしょうが、大分県の旅館に幼くして奉公に出て一児を産み、郷里に帰り父と出会い、私と弟が生まれました。

 横山大観先生に弟子入りして日本画家として身を立てようとしていた父は、太平洋戦争で夢やぶれ、郷里で自転車店を開業しておりましたが、酒浸りの日々を送っておりました。小学生の兄は重度の腎臓病を患い、貧乏のために満足な治療も得られず医者からも見放されておりました。

 腎臓病で死にかけの兄と生まれたばかりの私と弟を抱え、アルコール依存症の父の代わりに自転車店を切り盛りして必死で生きている時に母が出合ったのが創価学会だったのです。

 神にすがるような思いで入信した母は、父の反対を受けながらも狂ったように「南無妙法蓮華経」の題目を唱え、兄の病気の回復を祈りました。その結果、奇跡的に兄の病気が完治したのです。わが子を自分の命と引き換えにしても助けたいという思いが神に通じたのか、お題目が仏様を動かしたのか定かではありませんが、医者に見放された命を母の祈りで救ったのであります。

 それから現在に至るまで母は熱心な創価学会員であり、日蓮正宗の信徒でありました。

 母の意思を尊重して葬儀は学会葬で執り行いましたが、これには少々戸惑いました。日蓮正宗のお寺に葬儀のお願いを申し出たところ、「学会を退会して日蓮正宗の信徒にならないと協力できない」と断られてしまったのであります。

 死んだ母に確認するわけにもいかず、生きていたとて創価学会を退会するはずもない。人間は亡くなればみな仏様、何とかお坊様に来ていただきお経を上げて頂きたいと懇願しましたが、残念ながら聞き入れていただけませんでした。なんとか無事母を送りましたが、日蓮大聖人の仏法を広めるために生涯を賭け生きてきた母、その母が亡くなればお坊様にお経を上げていただけないのが、日蓮大聖人の本当の教えなのでしょうか。

 ここにおそれ多くも伏して日蓮正宗と創価学会に申し上げたい。仏教において生死の問題以上に、死者の弔い、即身成仏させるのは最も荘厳な儀式であります。1日も早くこの問題を対処して信徒の家族を安心させてくださいませ。

 ■石井和義(いしい・かずよし)空手団体「正道会館」宗師で、格闘技イベント「K−1」創始者。著書に「空手超バカ一代」(文藝春秋刊)がある。

 

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