遠藤三賞級の活躍も“不発”相撲協会に欲しい懐の深さ

2013.10.08

 「断髪式でまげを切った力士は何で泣くの?」

 「そりゃ、お米(お金)の入りが、ガクンと減るからさ」

 相撲界には、そんな笑い話があるそうだ。6日には、今年初場所で引退後もテレビに引っ張りダコだった元小結高見盛(振分親方)が引退相撲でマゲとおさらばし、「ただの人」になってしまった。

 相撲はそれほど強いとはいえないのに、土俵上のパフォーマンスと一風変わった言動で横綱、大関並みの人気を保った珍しい力士だった。

 寄席でいう「色物」の人気に支えられていた相撲界だったが、入れ替わりに、古典落語の大ネタをじっくり聞かせる本格的な「真打ち」候補が現れた。

 秋場所、プロ入り4場所目で新入幕を果たした遠藤だ。初日から土俵下の控えに入ってきただけで大きな拍手、歓声が沸き起こった。きれいなシコの踏み方は大横綱貴乃花を思わせ、まだザンバラ髪とはいえ、醸し出す雰囲気は新入幕とは思えないほどだった。

 筆者も何日か足を運んだ国技館は「イケメン」の噂を聞きつけてか、若い女性のお客も増えた感じで間違いなく活気に溢れていた。

 知り合いの親方は「遠藤は間違いなく相撲協会の米びつになる」と太鼓判を押した。「左を差してかいなを返し、右の●(=横の旧字体)みつを引く形がいい。相手のまわしを切り、自分の体勢にしてしまう技術も天性のものだろう」と、相撲内容にも高得点を付けた。

 残念ながら左足首捻挫のため14日目から休場したが、9勝は立派で「三賞もの」と思ったファンも多かったろう。しかし、途中休場力士が受賞した前例はないとかで、千秋楽の三賞選考委員会では議論の俎上にさえ上らなかったと聞いた。

 確かに敢闘賞は2桁白星が原則だから、9勝ではダメかもしれない。しかし、技能賞なら勝ち越しているのだから権利はあった。

 再び知り合いの親方。「白鵬の優勝がまた14日目に決まり、遠藤がいなかったら尻すぼみで何もない場所になっていた。特別に敢闘賞でもよかったし、技能賞でも悪くなかった」

 三賞はこのところ「該当力士なし」ばかりで1人、あるいは2人だけの受賞が7場所も続いている。賞金200万円が惜しいわけでもあるまい。若い力士のやる気を引き出すために、多少は甘めでも極力受賞者を出さないことには、三賞の意味はない。

 前例を破って遠藤に賞を出していたら「相撲協会は懐が深い」と拍手喝采したろう。せっかく人気回復の兆しが見えても、世間と乖離した協会の頭の硬さでは前途多難だ。(作家・神谷光男)

 

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