元大部屋師匠2人の悲しい最期 前時津風親方、前二所ノ関親方

2014.08.19

 先週、2人の元親方の訃報が目に入った。1人は前時津風親方(元小結双津竜)の山本順一氏(享年64)、もう1人は前二所ノ関親方(元関脇金剛)の北村正裕氏(享年66)。ともに道産子で団塊世代。何度も土俵で対戦したことがある。お盆の時期、誘い合うように相次いで亡くなったところに人知の及ばぬ何かが働いたのでは、と考えてしまう。

 山本氏は平成19年に起きた時津風部屋の新弟子暴行死事件で、暴行に加わったとして傷害容疑で逮捕された。日本相撲協会は当然解雇となり、懲役5年の実刑判決を受け三重刑務所に収監されたが、肺がんが進行し入院していた。

 現役時代は別名「象さん」といわれ、色白の巨体で寄りを得意とした力士だった。関係者によると「酒の強さなら間違いなく横綱」という酒豪。昭和48年に日中国交正常化を記念して北京で開かれた中国公演では、60度もあるマオタイ酒を一気飲みし、時の周恩来首相を驚かせたという。

 ふだんは温厚で、暴力事件を引き起こすような人柄ではなかったが、酒が度を超えると豹変。新弟子暴行も別の人格が引き起こしたのでは、ともっぱらの評判だった。

 北村氏は昭和50年名古屋場所で平幕優勝したとき、連日の奔放な発言で「ホラ吹き金剛」の異名がついた。「将来は大関」と期待されたが、師匠二所ノ関親方(元大関佐賀ノ花)の急死で部屋の後継問題に巻き込まれ、27歳の若さで引退したのは惜しまれた。

 師匠の次女と結婚し、未亡人と養子縁組した。当時、関係者の間では「次女とはすぐ離婚したが、養子はそのまま。部屋を守るため未亡人が仕掛けた偽装結婚」との見方が強かったという。

 次々と飛び出すホラは頭の回転の速さがあったからで、政治、経済、社会問題まで話のタネにした。歌も、ゴルフも玄人はだし。ギャンブルも大好きだったようだ。

 それだけに、おとなしく弟子の指導に専念するタイプではなかった。弟子も集まらず、横綱大鵬を輩出した名門部屋を没落させ、最後は消滅させてしまった。

 平成23年に起きた八百長問題では協会理事(広報部長)として対応に当たったが、体調を崩して入院し65歳の定年前の退職を余儀なくされた。

 「経済的な事情で定年まで待てなかったのでは」という関係者もいた。再婚せず子供もいなかったため寂しい晩年で、病院を転々とし、最後は千葉県内の小さな病院で息を引き取ったという話もある。

 山本氏も北村氏も「もう協会を離れている」と相撲協会は一切対応しない。それは仕方ないにしても大部屋の師匠でありながら、あまりにも悲しい2人の最期。人生の無情さを改めて思い知る。 (作家・神谷光男)

 

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