今月2日、幕内・十両力士の2場所に1度の体重測定が行われた。際立ったのが稀勢の里の異常な増量ぶりだった。初場所前から実に9キロも増え、184キロ。幕内で6番目の重さだ。
力士が体重を増やすことは強くなるために必須で、食べることも稽古の一つといわれる。このことを何よりも重視したのが、稀勢の里に力士の基本をたたき込んだ先代師匠(元横綱隆の里)で、平成元年2月に部屋を興すとき「日本一ちゃんこ(食事)を大事にする部屋を作る」と誓ったという。ちゃんこを作る台所の設備に力を注ぎ、手作りの麺を打つ麺台も2台あった。おかげで弟子たちの食生活は充実し、稀勢の里の体もひと際立派に成長。今年の初場所後に横綱に昇進したときは175キロになっていた。
強くなり注目を浴びれば、さまざまな賞品や差し入れが相次ぐ。たとえば逆転優勝した春場所前には、出身地の茨城県から県産の野菜1トン、常陸牛ロース40キロ、初場所優勝賞品の福島県知事賞の米1トン、その他牛肉や農産物などが届いた。奈良県知事賞の「ちゃんこ大和尽くし300人前」というのもあった。