ミスにもギャラリー「ナイスショット」声援 遼クン募るイライラ

目指せ“笑金王”

2009.11.16


目指すは日本の頂点。賞金ランク首位を奪回した石川。カギを握るのはメンタル面か【拡大】

 男子ゴルフの賞金王争いで、同ランク2位の石川遼(18)が「三井住友VISA太平洋マスターズ」(15日最終日、静岡・太平洋クラブ御殿場C)で4位に入り、45位に終わった首位の池田勇太(23)を逆転。約550万円差をつけ、首位を奪回した。右手首痛など満身創痍の池田は残り3戦中2戦に欠場する公算が大きく、10代賞金王目前の石川にとって、敵は新たに出現した“KYギャラリー”だけ?!

【怒りあらわも「次は自分を殴る」】

 日没サスペンデッドの第3ラウンドに引き続き行われた最終ラウンド。3番(パー5)の第1打を左ラフに入れた石川は鬼の形相で、持っていたドライバーで地面をたたくフリをした。ヘッドは地面スレスレで止まったが、さわやかイメージの18歳だけに、周囲のギャラリーはこの光景に息をのんだ。

 「無意識の行動ですね。どこに怒りをぶつければいいのか分からなかった…」。ラウンド後そう振り返った石川。前日(14日)にも18番(パー5)で第2打を右へ曲げた途端、「ウワッー!!」と大声をあげるなど、ここ数試合は苛立ちを隠せない場面が目につく。賞金王へのプレッシャー、あるいはショットやパットが思い通りにならないことが理由か。そんな中、ツアー関係者は、“空気を読めないギャラリー”の存在を指摘する。

 石川が怒りをあらわにしたのは3番。だが、その前の2番(パー4)に“伏線”があったという。ドライバーで第1打を放った瞬間、多くのギャラリーは「ナイスショット!!」の掛け声。ところがボールは左へ弧を描き、池の手前で止まった。「あの『ナイスショット』はないよ!! あと1メートル左だったら、池に入っていたよ」と同関係者。ほかにも、6番では第2打を実際に池に入れ、再び「ナイスショット!!」の歓声も。

 「遼人気」の影響でここ数試合、ゴルフを知らない初心者ギャラリーは急増している。石川が1〜2メートルの短いバーディーパットを外しても、その後に「ナイスパー」の声があがるなど、ファンは応援しているつもりでも、本人には逆効果ととれなくもない。

 米ツアーではギャラリーはボールの落下を確認してから、「ナイスショット」の判断を下すのが一般的という。誰よりもファンを大切にする石川が表立って“KYギャラリー”を批判するようなことはしない。ただ、時折、「米ツアーのギャラリーは盛り上げるのがうまい」と口にしている。「ナイスショット」でないのにそう言われれば、嫌気はさす。特に賞金王争いは佳境を迎え、できる限りプレーに専念したいところなのだが…。

 一方、石川のライバルも苦悩が続く。右手首痛を抱える池田は本来の調子とはほど遠く、賞金ランク2位に陥落。「(右手首を)かばってプレーし、他がボロボロ。左腰に左肩(が痛い)。残り(3試合)を全部辞める選択肢も考えている」と明かした。

 残り3試合はすべて、優勝賞金4000万円の高額トーナメント。関係者によれば、池田は最終戦の「ゴルフ日本シリーズJTカップ」(12月3日開幕)への出場には強い意欲を示しているが、その直前の2試合は厳しい状況という。2人の賞金差は約550万円。池田が最終戦にしか出場できないとなると、石川はあと1勝すれば、その時点で賞金王が確定する。

 ライバルが不在なら、あとは己との戦いだ。ドライバーで地面を叩きそうになった石川はこう語った。「(怒るときは)次は自分を殴りたい」。史上最年少の賞金王へ向け、精神面がカギを握りそうだ。(伊吹政高)