国際サッカー連盟(FIFA)の年間表彰で、女子の最優秀監督賞に輝いたサッカー女子日本代表「なでしこジャパン」の佐々木則夫監督(53)。世界一の指揮官を陰で支えるのが、ひとつ年上の淳子夫人だ。鼻毛チェックなど、身だしなみへのアドバイスは有名になったが、家庭では夫に対してどのようなさい配を振るのか? そして、ロンドン五輪で金メダルを狙うなでしこへの心強い作戦とは? (スポーツライター・増島みどり)
−−監督の“まずは身だしなみから”という配慮は、企業の上司と女性部下にも参考になります
「私が助言してくれたと主人は話していますが、身近にいる女性として私や娘にも気遣いをしてくれます。昨年はW杯、オリンピック予選と本当に忙しく、家にいる時間がほとんどありませんでしたので、“誕生日くらいは何かあるわよねぇ”と家でも時々つぶやいていましたら、私の誕生日に急に“旅行に行くぞ”って」
−−やりますねぇ、監督。ちゃんと聞いていた
「これからどこへ行くと思う? とサプライズ旅行です。シンガポールで人気のあるホテルを予約してあり“留守が続いたけれど有難う、お疲れさまでした”と。なでしこの監督に就任してからは、本当に出張が多く、家で過ごせない分、一緒にいる時間を大切にしようと、以前よりも一層強く思うようになったこともありますね」
−−つぶやき作戦!
「夫婦の間であっても、夢や願いはまず語り合ってみることが大切ではないかな、と思っているんです。夫婦って本当は一番近くにいるのに、日々の生活に追われ、子どものことをどうしても優先してしまいますものね。だから、夢や願いって夫婦なのに案外話していないのです。私は、お互いがそれを一緒に実現したいんだって強く思うためにも、話して伝えるようにしているんです。“あそこに旅行をしてみたい”“美味しいお店があるみたいよ”とか。そんな身近なところから、もっと大きなものも。願いは何よりも声に出さないと具体的には描けないし、実現しないのではないかしら」
−−“W杯で優勝する”や“ロンドン五輪で金メダルを取る”とか
「もちろんです。お互いの夢、夫婦の夢、その両方を一緒に見たい、といつも思っています。今は、とにかくロンドンで金メダルを取ることが彼の夢であり、私の夢でもありますから。“ここは集中して見ないといけないので、少し時間をくれるかな”と、自宅にいてもリラックスするのではなく2、3時間部屋にこもってビデオ分析することもあります。夢に賭ける強い思いをそばで見ています。W杯で優勝してあれほどうれしかったはずなのに、オリンピックの年がやってくると、その思いはまた別に強くなるものですね」
−−今の夫婦の夢は?
「これからもたくさん考えていますが、まずロンドンでかなえたいですね。最終的には、80歳を超えても手をつないで散歩している、そんな夫婦になりたいんです」
−−選手を気持ちよくピッチに立たせることが監督の仕事のひとつですが、奥様も心掛けていらっしゃる?
「私はサッカーそのものは全く詳しくありませんが、なでしこをみなさんと同じ1人のファンとしてみておりますと、本当に気持ちがよい戦いっぷりですよね。主人はいつも明るく、楽しく仕事に向かっていると思いますし、家の中では、とにかく当たり前のあいさつを丁寧にすることを心がけています」
−−それも案外難しい。近くにいるからこそ不機嫌になりますから
「大概は私より早く起きていますので、必ず“おはよう!”と元気よく、明るく。食事の際も、意識しないとお互い何気なく食べ始めてしまうものですが“いただきます”も、元気よく。他愛もないことですし、みなさんやっておられる普通のことでしかありませんが、意識して、きちんと、それを大切にしているだけなんです」
−−日々の気配りは、世界一への大きなサポートですね。ところで、明るくといえば、監督のダジャレは自宅でも?
「娘(千尋さん)は“もう、またつまらないの言ってるんだから”と聞いていませんので、同じ年ごろのなでしこのみなさんもそうでしょうね。年明け4日に近所に初詣に行き、昨年お世話になったお札をお返しし、新しいものを頂いてきましたが、帰り道で…」
−−初ダジャレを
「えぇ。それも、途中で梅の木につぼみがついているのを見て“これは春からうめぇ話だ”と」
−−!?……
「全く面白くないでしょう? でも、2人だけで聞いていると、あまりにもストレートなんで逆におかしくなっちゃって、つい笑ってしまうんです。ビルの上にボウリングの大きなピンが置かれているのを見ながら“あっ、今ピンと来たよ”とか」
−−奥様の優しい笑いが、監督の大きな励みだと思います。ロンドンには行かれますか
「はい。まだ初詣でお祈りしただけですが、ロンドンが近くなったら、私が1人で色々な場所で一生懸命お願いをしてくるつもりです。私も、みなさんと一緒に、なでしこジャパンを応援していきます」
