香川が五輪に出ないワケ…リーグ戦のほうがはるかに大切

2012.07.20


マンUの香川真司(ロイター)【拡大】

 マンチェスター・ユナイテッド(マンU)の新戦力の目玉として、現地でも香川真司は話題の中心にいる。

 もし日本代表としてロンドン五輪でメダルでも獲れば、同じように大きなトピックにはなるだろう。しかし、それは香川にもクラブにも大きなメリットにはならない。すでに欧州屈指の名門クラブに高額移籍を果たし、最高級の評価を得ているからだ。

 日本サッカー界にとってはどうだろうか。五輪好きな日本なので、当然成績が良ければ好影響が期待できる。しかし昨年のなでしこブームの大きさを見ると、単一大会のW杯だからこそ、話題を独占できたという感もある。逆に香川が、五輪出場のためリーグ開幕直前までチームを離れたら、開幕スタメンは難しくなる一方だ。開幕時点でベンチに座れば、適正ポジションでの出場機会奪取のチャンスも減る。

 「なぜ香川は五輪に出ないのか?」という意見が目立つ。本番で対決するモロッコ代表ピム・ファーベーク監督からも、疑問の声が出た。しかし個人的には、香川の招集を見送った日本サッカー協会の判断は、日本サッカー界の利益に則したものだったと思う。

 何よりサッカーは欧州を中心に回っている。日本だけでなく、南米やアフリカの一線級選手も集結する。だから元日本代表監督のイビチャ・オシム氏も「欧州のショーウインドーにある選手」のコンディションを最優先し、しばらくは国内組でチームを固めてきた。

 欧州の観点では、シーズン中のリーグやカップ戦の方が五輪よりはるかに重要。だからこそ欧州市場は五輪を待たず、欧州選手権が終わると活発に動き出す。

 日本の選手たちが次々にドイツ・ブンデスリーガに進出できるようになったのも、ドルトムントでの香川の大ブレークに端を発している。つまり香川は五輪でメダルを手にするより、開幕からマンUのレギュラーでプレーする方が、はるかに日本サッカーの質の高さをアピールできるわけだ。

 五輪男子サッカーの参加資格は、アマ→W杯未経験者→U−23と移り変わってきた。どの時代も、最大の観客動員を望める“ドル箱”種目だった。しかし国際的観点から、サッカー界の中で、際立って重みが増したという印象はない。

 ■加部究(かべ・きわむ) スポーツライター。1958年生まれ。6度のW杯、8度の各大陸選手権などを取材。著書にデットマール・クラマーを題材にした「大和魂のモダンサッカー」、「忠成」、「サッカー移民」など多数。現在「週刊サッカーダイジェスト」、「サッカー批評」他でコラムなどを連載。

 

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