“ヤングなでしこ”は異彩チーム!エゴ娘がいっぱい

2012.08.31


左右FKが武器の田中陽をはじめ、ヤングなでしこには伸びしろのある選手がそろう【拡大】

 サッカーU−20女子W杯で日本代表を率いる吉田弘監督は一見すると真面目一徹。しかし会見では、少しでも笑いをとって場を和ませようという姿勢がうかがえる。ベスト8進出を決めたスイス戦後、左右の足でFKを決めたMF田中陽子(INAC神戸)を従え、少々皮肉をまぶした。

 「もともと、あまり言うことは聞かないんですよね。FKは横山(久美)に蹴らせろ、と指示していたのに…」

 ロンドン五輪銀メダルのなでしこジャパンに続き、ヤングなでしこの人気も急上昇しているという。もちろんビジュアルも一因だろうが、このチームは過去の男女どのカテゴリーの代表に照らしても異彩を放っている。

 今まで、日本のチームが称賛されるときのコメントは決まっていた。「技術が高くて組織的」

 よくいえば協調性があり機能性が高いのだが、裏返せば意外性や個の決断力に乏しいという見方もできる。しかし、ヤングなでしこは違う。

 特に前線には、エゴイスティックなプレーをする選手が目立つのだ。両翼に起用されるFW田中美南(日テレ)と横山久美(岡山湯郷)。ボールを持ったら、何人前にいても仕掛けていく。パサーがリターンを求める声など、どこ吹く風だ。

 またスイス戦では、途中から交代で入り豪快なゴールを決めたFW西川明花(FC高梁吉備国際大)。毎回ボールを持ったら、シュートまで持っていくと決めているかのようだ。ニュージーランド戦では裏目に出た感もあったが、スイス戦の振り向きざまのゴールなど、こういうメンタリティーの持ち主でないと生まれない。さらに最終ラインを統率する木下栞(日テレ)も、まるで元日本代表DF闘莉王(名古屋)のように決然と飛び出していく。

 もしかすると、整然とパスが回るサッカーに慣れ親しんだ日本のファンは、フラストレーションを感じる部分もあるのかもしれない。だが先日SBS国際ユース(男子)で見たポルトガル代表などは、こんなタイプばかり。現段階では非効率かもしれないが、逆に大きな伸びしろを感じさせる部分もある。

 スイス戦の4点目は、仕掛けてばかりだった横山が、絶妙のタイミングでボールを離したことでPKを獲得した。

 今ではめったにドリブルを見せない香川真司も、育成年代ではドリブルばかりだったとか。個性豊かで新しいメンタリティーを備えたヤングなでしこ。国際基準に照らしても、健やかに育っているといえそうだ。

 ■加部究(かべ・きわむ) スポーツライター。1958年生まれ。6度のW杯、8度の各大陸選手権などを取材。著書にデットマール・クラマーを題材にした「大和魂のモダンサッカー」、「忠成」、「サッカー移民」など多数。現在「週刊サッカーダイジェスト」、「サッカー批評」他でコラムなどを連載。

 

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