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ステーキ「けん」…ファミレス不況でも急成長のワケ

目標は10年後に年商100億円

 大量閉店が相次ぐ“ファミレス不況”時代で、あるステーキレストランが出店攻勢をかけている。大手ファミレスが撤退した店舗をほぼそのまま活用することで、出店費用を極限まで抑える手法で低価格を実現し、急成長した。「客単価1000円台のレストランに空間の付加価値はいらない」との経営哲学を持つ30歳のヤリ手社長は、幹線道路沿いの居抜き物件を次々と獲得する「ロードサイドのハイエナ」として年商100億円の企業を目指している。

 今月1日、千葉県松戸市の国道6号沿いにオープンした「ステーキハンバーグ&サラダバーけん松戸店」は9月15日までデニーズの店舗だった。外装は看板を取り換えた程度、内部はサラダバーを設置した以外はほぼそのまま使ったため、「お客さまの2割がメニューを見るまでデニーズだと思いこんでいる」(佐藤章一店長)という。

 看板メニューはKenステーキ(150グラム、1050円)、ハンバーグステーキ(150グラム、982円)で、どのステーキもサラダ、ライス、カレー、スープ、フルーツが食べ放題。店内は幅広い年齢層の客でにぎわう。

 燃料高にともなう客の激減を受けて今月、京樽がファミレス事業からの撤退を表明、すかいらーくが200店以上、デニーズが100店以上の大量閉店を進める苦境も、「けん」には居抜き物件が激増する追い風だ。

 「けん」は「エムグラントフードサービス」(東京都渋谷区)が展開しており、同社は2005年11月に既存のステーキ店など6店の経営権取得からスタートした。以来、「けん」を中心に東京、千葉、埼玉、神奈川の居抜き物件へ出店を続けて33店まで増えた。2008年3月期の売上高は14億7700万円で、09年は19億円を見込んでいる。

 通常、ファミレス1店をオープンするには1億円かかるといわれる。ところが「けん」はサラダバーの設置以外は内装、設備をほとんど変えないため、1店あたり1200−1300万円で出店できる。同社の井戸実社長は「店内が汚いのは論外ですが、客単価1000円台のレストランにお客さまは空間の付加価値を求めていません。この値段でいい食材をおなかいっぱい食べられる店は他にない」と胸を張る。

 初期投資が必要な物件には手を出さないため、最近オープンした巨大ショッピングセンターからの出店依頼も、「この先、閉店した店が出たら声をかけて」と断った。

 目標は10年後に年商100億円。高校卒業後、すし職人などを経て経営者になった井戸氏は「お客さまの満足だけでなく、働く人にとっても便利な会社にしていきたい」と話している。

ZAKZAK 2008/10/21

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