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“経営不安説”浮上ソフトバンク「5つの不安」とは?

株価急落、巨額有利子負債

 経営不安説が浮上しているソフトバンク。白い犬のCMでおなじみの携帯電話事業は、契約純増数が9月まで17カ月連続1位と好調だが、約2兆5000億円の有利子負債や、巨額損失が発生する恐れのある金融商品の保有など「5つの不安」が頭をもたげ、同社の株価は暴落している。孫正義社長(51)=写真左=は29日、急きょ9月中間決算を前倒しで発表。「10年以内に無借金経営にする」と宣言したが、異例ずくめの記者会見はかえって、同社の危機感を浮き彫りにした。

 「ソフトバンクがテレビCMなどの広告費の支払いに窮しているようだ」−。こんな未確認情報が株式市場を駆けめぐり、同社株の株価は坂道を転がるように下げていった。

 8月半ばまで2000円台で推移していた株価は、9月以降連日の下落。10月22日に1000円を割り込み、28日の取引時間中には636円と2005年の株式分割後の最安値を更新した。29日にはストップ高の750円と急反発したが、今年初めの水準から約7割も下落している。

 投資家の不安を払拭する必要に迫られたソフトバンクは、11月5日に予定していた08年9月中間決算の発表を、10月29日に1週間繰り上げた。

 「私どもの借入金が多いことが(投資家の)不安材料になっていることは認識している」−。孫社長は29日の決算会見の席上でこう語った。

孫正義社長(クリックで拡大)

 マーケットでは、世界的な金融危機で銀行が融資姿勢を厳格化するとの見方が強まり、借入金の多い会社が問題視された。

 その代表格が9月末時点で2兆4949億円の有利子負債を抱えるソフトバンクだった。

 この日発表された08年9月中間連結決算は、営業利益が7%増の1800億円と過去最高だったが、売上高は前年同期比2%減の1兆3289億円、最終利益も11%減の411億円にとどまった。

 ソフトバンクの借入金のなかでとりわけ心配されているのが、06年に旧ボーダフォン日本法人の携帯電話事業を買収した際の借入金約1兆3000億円だ。融資に参加した金融団は「財務制限条項」と呼ばれる融資条件を設けており、携帯電話事業の業績が設定した目標を下回ると、経営権が融資を実行した金融機関側に移る恐れもある。

 財務制限条項に対する不安について、孫社長は「手元流動性(すぐに取り崩して使える資金など)が5000億円と潤沢にあるので資金の返済は十分に回る。余裕を持って経営を行っている」と説明。18年度までに返済する計画を繰り上げ、「4〜5年で返せる」との見通しを示した。

 借金に対する不安がよほどこたえているのか、孫社長は記者会見の終盤になると突然、自らの人生哲学を語り始めた。「19歳のときのライフプランでは、20代で業界に名乗り上げ、30代で1000億〜2000億円の軍資金を手にする。40代で1兆〜2兆円の勝負をし50代で完成型を目指し、60代で無借金で次の経営陣にバトンを渡す。50代のうちに無借金を実現しないと僕の人生哲学に反する」

 ただ、主力の携帯電話事業は売上高、営業利益とも前年同期を下回っている。端末販売で2年契約が主流となり、買い替えが減って販売台数が減ったためだ。ソフトバンク自身が始めた手法だが、11月以降、契約者の「契約2年しばり」が順次外れるため、顧客の引き留め策も必要となる。

 金融危機の深まりに伴って、保有する金融商品にも不安なものがある。

 同社は、買収した旧ボーダフォン日本法人の発行済み公募社債を償還するために、750億円の債務担保証券(CDO)を保有。CDOを構成する160銘柄のうち、米リーマン・ブラザーズやアイスランドの銀行など6銘柄がすでに債務不履行(デフォルト)となった。デフォルトが7銘柄になると456億円、8銘柄以上になると750億円全額が損失となる仕組みになっている。

 CDS(クレジット・デフォルト・オプション)と呼ばれる金融商品で、ソフトバンクに対して付けられている指数も大きな不安となっている。

 CDSは取引先企業の破綻や債務不履行に備えて買う一種の保険で、一般に破綻の危険性が高い企業ほど“保険料”も高くなる。その保険料は数値化されており、「500が危険水域、700を超えると破綻が意識される」(市場関係者)とされるが、東京金融取引所が公表しているソフトバンクのCDSの参考値は、29日時点で破綻を強く意識させる「900」に達している。

 これについて、孫社長は「まるで経営が破綻するかのような勘違い。市場の理解が進むのも時間の問題」と意に介さない。

 巨額の有利子負債、財務制限条項、携帯事業の先行き不透明感、CDO、CDS。孫社長の必死のアピールにもかかわらず、これら「5つの不安」が沈静化する気配はない。

ZAKZAK 2008/10/30

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