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割増金か、年収300万円か…日本IBMの退職勧奨

サラリーマン残酷物語

理不尽なリストラ勧告に怒りを隠せない山下宏さん(仮名)
理不尽なリストラ勧告に怒りを隠せない山下宏さん(仮名)

 「日本IBM」(本社・東京)の正社員、山下宏さん=仮名、40代=は今月初旬、仕事中に突然、上司に呼び出された。2人だけの会議室。上司はおもむろに「来年、あなたの席はあるが、これから毎年、退職勧奨の話が出る。退職割増金は1000万円だよ。体のことを考えたら?」と語りかけた。

 口調こそ柔和だったが、事実上の退職勧奨が始まった瞬間だった。こうした上司の対応は、日本IBM労組が入手したと主張する「リストラマニュアル」通りだった。

 問題のマニュアルには「退職を強要するような言動は違法となる」「説得ではなく応諾の答えを引き出す」「感情的になった場合は一時、中断する」など、将来、会社側の非が問われない方法が細かく記されている。

 労組によると、マニュアルでは社内の15%がリストラ対象というから、1000人規模の正社員が路頭に迷いかねない。

 山下さんは1980年代、大学院修了後に入社。営業職のスタッフとして働いてきた。メンタルな病気を抱えたため、最近、サービス残業を減らしていた。

 その後も、山下さんは上司と話し合ったが、対応は矛盾に満ちたものだった。上司は、退職受け入れの条件として提示した退職割増金の申込期限を度々変更した。当初は来年の席を担保していたが、雇用の継続を申し出た途端、「あなたが働く場所はない。誰か知り合いを頼れ」と撤回した。

 さらに、「降格もあるぞ。あなたは西日本勤務の対象者だ。年収は新入社員と同じ300万円になる」「妻が働いているなら、辞めてもいいだろう」などと冷たく突き放すような言葉が続いた。

【食欲なく、ベッドに伏し】

 山下さんの妻は「ひどすぎる」と会社の対応に絶句するが、早ければ来年前半にも、西日本勤務が待っている。その後の身分は不透明だ。山下さんは食欲がなくなり、ベッドに伏している日も。

 労組によると、上司から「48時間以内に退職届を出さなければ解雇する」と言われた社員9人が退職に追い込まれたという。最近、退職勧奨を断った社員を集めた新しい部署が創設されるなど、会社側の動きは止まりそうにない。

 日本IBMの広報担当者はマニュアルの存在やリストラ対応について、「どういう経路で労組が入手したのか不明なので答えられない。キャリア選択を拡大するプログラムを社員に実施している。退職もあり得るが、詳細については答えられない」としている。

 「これから先、どうなるか分からない。解雇される不安はあるが、多額のマンションのローンも残っている。妻と二人三脚で頑張っていきたい」と山下さんは語る。厳しい戦いはまだ始まったばかりだ。

 ■雇用をめぐり、企業からひどい扱いを受けた方々の情報を募集しております。封書にお名前と連絡先、内容を明記して、〒100−8160 夕刊フジ報道部「サラリーマン残酷物語」係、メールの場合、yufuji@zakzak.co.jpまで。

ZAKZAK 2008/12/19

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