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やるだけ損…インサイダー取引“最新”ハイテクで暴く

1月から“強力武器”導入

 企業の内部情報を悪用した株式のインサイダー取引。証券取引等監視委員会の職員が日々、監視を続け、“怪しい取引”を追跡調査しては立件に結びつけている。ハイテクを駆使したインサイダー取引調査の現場をのぞいてみた。

 市場の動きをみていると、「おやっ?」と思うことが度々ある。たとえば、ある大手電機メーカーが音響機器メーカーを完全子会社化したときのこと。夕刊フジはいち早くその動きを報じたが、大手電機メーカーの株価は夕刊フジが情報をキャッチして報じる数日前から上昇し始めた。あたかも、完全子会社化の情報が漏れていたかのような動きだった。

 また、インサイダー取引の取り締まり対象には報道関係者も含まれる。関係者によると、経済に強いある報道機関の社員が“怪しい取引”をあまりにも繰り返したため、徹底マークしたこともあったという。

 監視委で市場での取引に目を光らせているのが市場分析審査課だ。全国5カ所の財務局の担当者も合わせると、総勢約80人の審査官たちが証券市場の動きをウオッチしている。審査官は企業のM&A(合併・買収)や決算、株式分割など重要事実が公表される前後の取引に注目。売買注文のタイミングや株数などから、取引の意図を探る。

 “怪しい取引”として何度も登場してくる口座は要注意。「ギャンブルと同じで1回うまくいくと、やめられない。繰り返すようになる」(ベテラン審査官)からだ。浮かび上がった口座はデータベースに記録され、証券会社に名義人や取引履歴を照会する審査の対象となる。

 2007事務年度(07年7月−08年6月)のインサイダー取引の審査件数は951件で、5年前の約2倍。08事務年度は1月末までに464件がマークされた。

 審査結果は、監視委で行政処分を担当する課徴金・開示検査課と、刑事告発を担当する特別調査課に振り分けられる。NHK職員や野村証券のM&A担当社員によるインサイダー取引事件も、審査官の目にとまり、立件に結び付いた。

 今年に入り、審査官に強力な“武器”が加わった。1月下旬から稼働を始めた新システム「コンプライアンスWAN(広域通信網)」。証券会社や国内の証券取引所とオンラインで結ばれ、取引データを直接やり取りできるようになった。

 従来は、証券会社の担当者が監視委の要請を受けて、取引データを記録したフロッピーディスクを持参していた。現在は格段に作業効率がよくなったという。

 証券会社や取引所の売買審査部門との連携も進んでおり、審査課幹部は「さまざまな情報を付き合わせると、不正取引が立体的に浮かび上がってくる。少額な取引でも、こちらには見えていますよ」と話す。

 審査官の目とハイテクシステムが融合し、インサイダー取引は「やるだけ損」な違法行為となりつつあるようだ。

ZAKZAK 2009/04/06

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